Windows Vistaの誘惑


 6月27日の夜。ついに召しませMoney!の続編、「モネの誘惑」が書き上がった。ずいぶんお待たせしてしまったので、ホッと胸をなで下ろしたのと同時に、たくさんの方にお買い上げいただいて、こんなにうれしいことはない。

 でも……じつは、うれしいことばかりではないのだ。

 以前、「じゃじゃ馬ならし」というエッセイに書いたので、覚えている方もおいでかもしれないが、ぼくはケイトと名付けたパソコンを使っていた。はじめて自分で組み立てた、いわゆる「自作パソコン」だ。

 タイトルからもお察しいただけるかと思うが、そのケイトが、ついに壊れた。いまエッセイのバックナンバーを見たら、パソコンを新しくしたときは、必ずその顛末をエッセイに書いているので、今回も、ことの顛末をここに記そう。

 思えば……ケイトの調子が悪くなったのはいつだったろうか。組み立てた当時は、言うことをなかなか聞いてくれず、思わず「じゃじゃ馬ならし」なんていうエッセイを書いてしまうほどだったが、OSをWindowsXPにしたら、とたんにいい子になって、それ以後、ずっとがんばって働いてくれた。

 とろこが……

 一年ぐらい前だったろうか。つなげていたワイヤレスマウスが動かなくなった。なにをやっても直らず、結局ふつうのコード付きマウスに戻したら動いたので、がまんして、そのまま使うことにした。(もしかしたら、マウスが壊れたのかもしれないが、このときは検証する手段がなかった)

 その後、内蔵していたCD-Rドライブが壊れた。もうケイトのふたを開けるのはめんどうだったので、これは外付けのDVD-Rドライブを買ってきて解決した。

 さらに、それと前後して(いつだったかハッキリ覚えていない)、HTMLファイルが白紙のアイコンになった。これも直らなかったが、実害はほとんどないので放置した。

 そして、日々の作業を終えて、ケイトをシャットダウンすると、電源が切れるまでに十分以上かかるようになった。たまに数分で切れるんだけど、ほぼ十分以上かかる。これは待ってれば切れるので、やっぱり放置した。

 まだある。メインスイッチが、だんだんバカになってきたのか、カチッとしっかりした手応えがなくなってきた。なんかふにゃとしている。でも電源は入るから、これもそのまま放置した。

 なんか、そろそろヤバイ?

 なんて気持ちにはなっていたが、なかなか新しいパソコンを買う気にはなれなかった。だって新しいパソコンを買ったら、セットアップがめんどうじゃん。あれ、すごくイヤなんだよ。時間ばっかりかかって、ぜんぜん生産的じゃない。いやまあ、セットアップがすめば、よりパワフルなパソコンで作業ができるんだから、生産的といえば生産的なんだろうけど……

 でも、理屈抜きで、パソコンのセットアップは大嫌いなのだ。好きな人がいたら会ってみたいよ。待て、いまの発言は撤回する。べつに会ってみたくない(苦笑)。

 ともかく、調子の悪いケイトをなんとか、だましだまし使っていたのだが……先月(2007年6月)の中旬に、その悲劇は起こった。

 起動しない!

 ギャーッ! ぼくは心臓の鼓動が一気に早くなった。先月の中旬といえば、モネの誘惑の追い込みの最中だ。もうちょっとで完成というところでケイトが、うんともすんとも言わない。

 もちろん、過去の経験から、バックアップがどれほど大事か、いやというほど知っているから(半分ほど書いた召しませMoney!2の原稿を、すべて失ったことがあるのだ!)、ファイルのバックアップはぬかりなくやっている。外付けのハードディスクに、つねに最新のファイルがバックアップされているので、ケイトが動かなくても原稿を失うということはないのだが……

 それにしても困る。あとちょっとで、モネの誘惑が完成するってときに、新しいパソコンを買ってセットアップなんかやってられるか!

 もし、そんな事態になったら、執筆が大幅に遅れることは間違いない。いったん萎えたモチベーションを元に戻すには時間がかかるし、テキストエディターや、日本語入力、そして各種辞書ソフトなどが、完ぺきに自分の好みに配置されていないと、書く気が起きないのだ。ただ、パソコンが動くようになればいいという問題ではないのだよ。

 と、言っても、動かないモノはしょうがない……

 しかし、ケイトの挙動をよく観察すると、どうも致命的な故障ではない気がした。というのは、メインスイッチの押した感じだ。ふにゃという頼りない感じになっていたのが、いよいよ接触しなくなっただけかもしれない。

 そこで、ケイトを久しぶりに分解し、中にほこりが溜まっているのに驚いて、それを掃除してから、スイッチを取り外した。それをとりあえずアルコールで洗浄してからつなげてみたら……

 動いた!

 動けばそれでいいのだ。もう、後のことは考えず、すぐにモネの誘惑を書き始めた。物語が盛り上がっているところを書いているので、頭の中は、完全に召しませMoney!モード。正直言って、こうなると、食事をするのもめんどうなのだ。とにかく書く。気分は乗りに乗っていた。こうして、その日は無事に終わった。

 そして翌日。

 また起動しなーい!

 ギャーッ! 本格的に壊れたか! それでもぼくは、またケイトを分解し、きのうは洗浄のあと組み立てなおしたメインスイッチをまた分解して露出し、その状態で押してみたら起動した。

 だから、その日も、そのままモネの誘惑を書いた。ほかのことは考えたくない。でも、アルコール洗浄で直ったと思っていたスイッチが、またおかしくなったのは、とても気になった。もしも、明日また起動しなかったらどうしよう……

 そしてつぎの日。

 ギャーッ!

 いきなり悲鳴を上げたとおり、やっぱり起動しなかった。もう、怒った!

 幸いケイトは今どきのパソコンには珍しく……今どきのパソコンじゃないから、珍しくないな。リセットスイッチがついているのだ。でもリセットスイッチは、ほとんど使っていない。新品同様。カチッとしっかりクリック感がある。そこでぼくは、メインスイッチの配線を、リセットスイッチに切り替えた。

 起動した!

 よかった〜。とりあえずホッとした。それでも、いいかげん、ケイトちゃんは引退させて、新しいパソコンを買わないとヤバイかも〜。たら〜っと冷や汗を垂らしつつも、でも、パソコンを新しくするということは、セットアップしなきゃいけない。それって、すごくイヤ。大嫌い……以下同文。

 とはいえ、さすがに危機感をバリバリ感じまくりなので、ネットでお買い得なパソコンを探すことにした。すると、九十九電機さんが売ってらっしゃる、Gateway という会社のパソコンが、6月30日までお安いらしい。買うならこれかなあ〜。なーんて思って、週末の彼女とのデートの待ち合わせを秋葉原に変更して、ちょいと現物を見たりした。まあ、デザインも悪くないし(よくもないが)、いま買っちゃおうか……と、そのとき思ったけどやめた。店頭で買うと送料が無料ではなかったのだ。

 それに、スイッチを変えたのだから、まだしばらく大丈夫だろうという思いもあった。なんとか、ケイトを使ってモネの誘惑を書き上げてしまいたいのだ。もしもいま、新しいパソコンを買ったら、モネの誘惑が書き上がってもいないのに、すぐにセットアップをはじめてしまうだろう。それで結局、執筆が大幅に遅れるのは目に見えている。

 モネの誘惑が書き上がるまで、がまんがまん!

 しかーし! なんと、次の日も起動しないのだ! ギャーッ!

 おかしい。これはスイッチが悪いんじゃないかもしれない。では、なんで起動したりしなかったりするのだ? 原因はなんだ? なにが悪いんだ!

 待てよ……そういえば、いままで分解のたびにコンセントを抜いていたな。試しにコンセントを一度抜いてから、スイッチを押してみるか……

 起動した! やった! コンセントを抜いた後なら、いつでも起動するぜ!

 ちょっと待てーっ!

 なにを喜んでいるんだぼくは! これって重傷じゃないか? もしかして、電源ユニットがいかれてるとか? ううむ。これは本格的にヤバイかも。そのうち、なにをやっても動かなくなるかも。

 もうダメだ。セットアップがイヤだとか言ってる場合じゃない。ぼくはもう速攻で、ブラウザを起動し(ケイトが動いているうちに急げ!)、九十九電機さんのネットショップに行って、Gateway のパソコンを、買い物かごに入れた。

 と、簡単に書いてるが、ここでも問題が発生した。最初、九十九電機には Internet Explorer でアクセスしたのだが、買い物ページが、正常に機能しなかった。いままでも、結構ネットで買い物しているけど、こんなことは初めて。

 もしかして、ケイトちゃんが焼きもち妬いてる? それとも、本気で壊れる寸前?

 まあ、本気で壊れる寸前なんでしょうよ。これはもう、一刻の猶予もならない。だから Firefox でアクセスし直して、買い物かごに入れた。

 興味のある方がいらっしゃるかもしれないので、ぼくの買ったパソコンのスペックを書いておきましょうか。

OS Microsoft Windows Vista Home Premium(日本語版・32bit)
CPU AMD Athlon 64 X2 デュアルコア・プロセッサ 5200+
メインメモリ PC4200 DDR2-SDRAM 2048MB
グラフィックシステム NVIDIAR GeForce 7600 GS 256MB (PCI Express x16接続)
ハードディスクドライブ 400GB (SATA II 3Gb/s / 7,200rpm)
ドライブ DVD±R DL対応 スーパーマルチDVD±RWドライブ


 と、こんなところ。ケイトちゃんより、単純に言って、三倍ぐらい速い。通常価格は、\154,800 (税込)と書いてありますが、これが6月30日まで、55,000円引きの、\99,800(税込)なんですわ。

 7月に入ったら、新製品が出るのかねえ? それで在庫処分価格なのかな。でもまあ、十分に使えるスペックだし、しかも、ネットで買えば、送料も無料ですよ、奥さん!

 なんか、主婦みたいなこと言ってるけど、気持ちは切実なのだ。もしケイトが壊れたら、こいつが届くまで、モネの誘惑は書けない。

 で、注文してから到着までに四日ほどかかった。到着したのは、6月の28日だ。その間、ケイトは動き続けてくれた。驚くべきことに、なんと、モネの誘惑が完成したのは6月の27日なのだ! ぼくは、モネの誘惑が完成したことを、Script1に発表するところまで、つまり、最後の最後まで、ケイトで作業することができたのだ!

 ばんざーい!

 思えば……ずいぶん長いことがんばってくれたケイトちゃん。彼女の最後の仕事が、召しませMoney!だったというのは、感慨深いものがある。最後は満身創痍になりながらも(見た目にも、スイッチのコードむき出しで、まさに満身創痍)、休むことなく働き続けてくれた。みなさんに召しませMoney!をお届けできたのは、ケイトががんばってくれたからなのだ。

 最後に電源を落とすとき、いつもよりログオフに長く時間がかかり、別れを悲しんでいるようにも感じた。それでもついに、カチッと音を立ててモニターがブラックアウトし、クゥゥーンとファンの音が小さくなって、とうとう、書斎が静寂に包まれた。もうケイトのファンの音を聞くことはない。こうして彼女は、その激動の生涯を終えた。

 ありがとうケイト! きみのことは忘れないよ!

 さあ、むかしのことは忘れて(おいおい!)、新しいパソコンの箱を開けよう!

 開けました。出しました。付属のキーボードとマウスをつなげ(じつは、これがあとで苦労することになるのだ)、モニターのケーブルなんかを……えーい、めんどくさい。とにかく、全部つなげて、さあスイッチオン!

 えっ! 動いてない!

 いや……動いてます。ちゃんとモニターにWindowsのセットアップが映った。

 なにこれ? むちゃくちゃ静かじゃん。ケイトちゃんは、起動したとたん、ブワーンとすごい音を立てて、中に小型の掃除機が入ってるんじゃないかと疑いたくなるような騒音をまき散らしていたんだけど、Gateway は、なんかシューンと言ってるだけで、ほとんど気にならない。あまりに静かで、本気で初期不良かと疑った。

 さて。Windowsのセットアップも終わり、ここからが本番。アプリケーションやらドライバーやらのインストール作業。ここからが地獄のはじまりだ。

 とにかくネットだ。ネットにつながってないパソコンなんかパソコンじゃない。と心配する必要はない。Windowsのセットアップと同時に、ネットの接続も完了している。

 だったらメールだ。メールが読めなきゃパソコンじゃない!

 ぼくはベッキーというメールソフトを使っている。こいつは、データフォルダーを丸ごとバックアップしておいて、新しいパソコンにインストールしたベッキーで、そのデータフォルダーを指定してやるだけでいい。これだけで、接続の設定からなにから、すべて、あっという間に元に戻る。ネットの接続設定ってめんどうだけど、ベッキーには、その手間がない。だから好きなんだよ、このソフト。

 ただ、うまく行かないという心配もあった。とくに、モネの誘惑プレゼント企画をはじめた直後なので、もしも、メールの設定がうまくいかなかったら、返事を出すのが遅れる。そういう事態が起きたときのために、告知のページには、メールの返事は、3〜4日かかると書いておいたのだ。

 幸い、それは杞憂に終わった。プレゼントに応募してくださったみなさんには、ほとんど延滞なく返事を書くことができた。よかった。

 このあと、仕事に使っているソフトなんかを、じゃんじゃかインストールしていくわけだが、それらはすべて、Windows Vistaに対応したバージョンを事前に用意していたので、ほとんど問題は起きなかった。(皆無ではないが、ここで愚痴ってもしょうがない)

 では、つぎに小説を書けるようにしなければならない。

 ここでは問題が発生する可能性が高かった。なぜなら、ぼくが執筆に使っているテキストエディターはWZエディターというヤツで、しかも最新版ではなく、WindowsXPにすら、正式に対応していないバージョンなのだ。

 ところが、意外なことに、あっさり動いた……と、思ったら大間違い。一見動いているように見えて、じつは致命的な欠陥があった。なんと、新規ファイルを保存できないのだ。すでにあるテキストファイルを読み込んで、それに編集を加え、ファイル名を変更せずに、上書き保存するなら問題ない。ところが、ファイル名を変えて、新規に保存しようとするとできないのだ。

 いちるの望みをかけて、互換モードとやらで動かしてみたけどダメだった。そこで、バージョンアップをしようと思ったのだけど……ぼくの使っているWZエディターは、すっかり更新が止まり、一応XPに対応したバージョンは出ているんだけど、Vistaについては、ホームページにヴィの字も見あたらない。どうやら、開発は完全に中止された模様。

 それでもXPに対応しているバージョンなら大丈夫だろうと思って、ダウンロードしてみた。試用期間があるから、その間に不具合がなければ、お金を払おう。

 これも、一見大丈夫のように思えた。もちろん新規保存もできる。よかった。そう思ったのは、ほんの数時間だった。せっかく新しいパソコンに変えたのだからと、以前ケイトが認識しなくなったワイヤレスマウスに交換したら(マウスは壊れていなかった)、なんとWZエディターでは、マウスのスクロールボタンが効かなくなったのだ!

 これも互換モードにしてみたが、やっぱりダメだった。WZエディターは、もう必須の執筆道具だから、こいつのためだけに、またコード付きマウスに戻してもいいのだけど、それもなんか、釈然としないし、だいたい、開発の終了したソフトを、この先何年も使い続けられるのかという不安もある。

 そこで、秀丸エディタに乗り換える決意をした。アウトラインの設定など、いろいろ手を加えないと、ぼくの執筆環境を作れないけど(要するに、WZエディター風にしたいのだ)、秀丸はカスタマイズ性が高いので、たぶん、好みの環境を作れるだろう。

 いや、これが一苦労だった。秀丸エディターは、原稿の執筆に使っている人も多いと思うのだけど、デフォルトの設定では、禁則処理さえオフになっている。さらに、前回開いていたファイルのカーソル位置も覚えていてくれない(覚えさせる設定をしなければならない)。

 じつは、ずいぶん前は、ぼくも秀丸エディターの正規ユーザーで、もちろん、ちゃんとお金を払っていた。でもWZエディターがすごく気に入って、そちらに乗り換えてから、もう何年も秀丸エディターはさわっていなかったのだ。細かい設定の場所を探すのに、ずいぶん時間がかかってしまった。

 秀丸エディターには、「ファイルタイプ別の設定」と「動作環境」という、二つの設定ダイアログがあり、「動作環境」で、動作を指定して、「ファイルタイプ別の設定」で、それを決定するという、ややこしい法則みたいなのがある。お恥ずかしい話だけど、そこになかなか気づかなかったのだ。考えてみれば、いや、考えるまでもなく、そうなっていないと、汎用のテキストエディターとしては(文章を書くだけじゃないからね)、とても困るわけで、これは考え抜かれた仕様なのだね。(とはいえ、改善の余地が皆無だとは言わないが)

 とにかく、がんばって設定した。どんなに苦労してでも好みの設定にしたい。なんか、頑固親父みたいな言いぐさでいやだけど……エディターだけは、ピッタリ、なにもかも自分の好みになっていないと(たとえば行間の幅まで!)、イライラして文章が書けないのだ。短いエッセイさえ書けない。それほど厳格に、ぼくの執筆環境は固定されている。

 まあ、時間はかかったけど、そこはそれ、さすが秀丸エディター。柔軟性が高い。ぼくの要求する環境は、ほぼ(妥協できる一点をのぞいて)実現できた。

 ≫ 秀丸にどんな設定をしたかは、こちらでご覧いただけます

 つぎに取りかかったのは、キーボードだ。ぼくはIBMの英語キーボードを使っている。これがもう最高で、まるでぼくの指のために開発されたようなキーボードなのだ。キーを押したときのタッチが最高に気に入っている。そして、ここでも、頑固親父みたいなことを言うけど、ぼくは英語キーボーでないと、文章が打てない。日本語キーボードでは、@マークを打つにも苦労する。

 ところが、Windowsのセットアップには、Gatewayに付属していた、打鍵するとペカペカという音がする、安っぽい日本語キーボードを使ってしまったものだから、Vistaくんは、日本語キーボードしか認識してくれない。

 これは簡単に変えられるだうと思っていたのに、なかなかキーボードの変更設定がわからず、一時間近く迷路にハマってしまった。マイクロソフトのオンラインヘルプが、はじめて役に立ったよ(笑)。

 つぎは日本語変換だ。ぼくはジャパニストという日本語変換ソフトを使っている。こいつも、一度手になじむと、なかなか手放せないソフトだ。

 でも……やっぱり不安はあった。Vistaに対応するためのアップデーターはあるのでメンテナンスは行われているようだけど……どうも、開発自体は終わっている気がする。もう四年も、メジャーバージョンアップがないのだ。思えば、それ以前に使っていたWXGというソフトも、開発が終了しXP対応にならなかったから、ジャパニストに変えた。また同じことが起こるのではないか。そんな不安がジャパニストにもある。開発元が富士通だから、がんばって開発してくれると思ったんだけど、それは見通しが甘かったみたいだ。

 ところが、ATOKは違う。なんと、毎年メジャーバージョンアップしている。毎年バージョンアップさせて、税金のようにお金を払わせるのか! と、思ってはいけない。それは、ユーザーがバージョンアップをしなければいいだけの話なのだ。ぼくは、毎年バージョンアップするのは、開発が継続しているという安心感があってすばらしいと思う。Justsystemには、ぜひ、今後もがんばっていただきたい。

 そんなことを考えたものだから、じつはケイトで、モネの誘惑を書いている途中から、日本語変換をATOKに切り替えたのだ。一度は、どうしてもジャパニストのほうが使いやすくて、使うのをやめたのだけど、最後の最後で、またATOKに戻した。

 だから、モネの誘惑には、「お越しになられますか?」なんて、台詞はないはずだ。だって、これは二重敬語といって、本来は「お越しになりますか?」と、しなければならない。ATOKは、ぼくがそんなミスをやらかすと、その直後に(変換する前にだ)、おい二重敬語だぜ旦那! ちゃんと直しな! と怒ってくださるのだ。

 ありがとうございます、ATOKさん。たまに、うるさく感じるけど、役に立ってますよ。だからといって、誤字脱字は、ぜんぜん減らないのだけど(苦笑)。

 ジャパニストも、変換効率は決して悪くない。じっさい、ATOKに変えてしばらくは、ジャパニストの方が、ずっと変換効率がいい気がして、一度ジャパニストに戻ったぐらいだ。だから、地道に開発が続いて、ATOKのような便利な機能がついたら、どんなにすばらしいことだろう。でも、もうバージョンアップはなさそうだ。だから、この先もATOKを使おう。

 こうして、やっと、以前の執筆環境に近い状態に戻ることができた。気がつけば、ケイトが引退しただけでなく、執筆に使っていたソフトも、すべて変わっていた。

 さあ、もう大丈夫だ。いつでも小説が書ける。そう安心したところで、落ちついて新しいパソコンを使ってみると……

 なにもかもが快適!

 当たり前の話かもしれないけど、やっぱりパソコンは新しいのがいいね。テキストエディターを使っているだけなら、あまり感じないけど、ホームページビルダーなんて、まるで羽のように動く。以前は数千行のテキストを貼り付けると、すごく重くなっていたのだけど、まるで、何事もなかったように動く。

 もちろん、仕事の写真をレタッチなんかしたひにゃあ奥さん、もう雲泥の差ですぜ。ケイトちゃんのこと悪く言いたくないけどさあ……やっぱ、引退させて正解だわ。

 ということで、次回作は、Gatewayくんで、がんばります!

 あ、もちろんこのエッセイは、Gatewayくんで書きました。彼の最初の仕事です(笑)。

 それと、もう一つご報告。九十九電機さんは、6月30日まで大安売りなんて広告を出していたのだが、さっき、おそるおそる見てみたら(だって、最新のパソコンが発表されていたらイヤじゃん)、なんと、まったく同じモノが、まったく同じ値段で、7月22日まで大安売りに変わっていた……なんじゃそりゃ。6月30日までってのは、なんだったのさ?

 なんかだまされた気分?(苦笑)。ま、いいけどさ。

 というわけで、お粗末さま。


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