2010年事始め


 気がつけば、2010年も二週間がすぎた。すなわち、日本からウエンディーズが消えて、もう二週間も経ってしまったのだ!

 なんのこっちゃ。と思ったあなた。知らないんですか、ウエンディーズ。ほらアメリカのハンバーガーショップですよ。お店の数が多くなかったから、知らない人は知らないでしょうけど、旨いんですよ。ここのチリビーンズが。たまにね、無性に食いたくなって、Lサイズのチリビーンズを二杯頼んで、がつがつ食べていたんです、ぼく。

 なのに、ああ、なんてこった! ウエンディーズが2009年の末日を以て、日本から消えてなくなってしまったのだ!

 もうちょい正確に申し上げますと、フランチャイズ契約してた日本のゼンショーが、2009年の末日で契約が満了するのを機に、撤退しちゃったんです。契約を更新しなかったのだ〜。ガックシ。

 いきなり残念感が漂う2010年。みなさまいかがお過ごしでしょうか。ぼくはね、今年の目標バッチリ決まってますよ。言うまでもありません。自分でチリビーンズを作って、腹一杯食べるのだ!

 え? なに? 召しませMoney!の公開が先だろうって? いやいや、あなた。食い物の恨み(苦笑)が先ですよ。まずは美味しいチリビーンズを作って、それを食べながら執筆に励みます。ええ、ホントに。

 というわけで、ウエンディーズのチリビーンズを再現できるレシピをご存じの方がいらしたら、ぜひご一報ください。よろしくお願いいたします。

 新年早々、他力本願だなあ(苦笑)。ま、いいか。いつものことだし。では、2010年最初のエッセイを本格的にはじめよう。

 今年はどんなことが起こるだろうか。まずは確定している予定を見ていこう。たとえば近いところでは、1月15日にインド洋で金環食が見られる。金環食とは、日食の一種だけど、月が完全に太陽を隠す皆既日食とは違って、月がわずかに太陽よりも小さく見えるので、太陽を隠した月の周りに光の輪ができる現象だ。

 え? なんで月が太陽よりも大きくなったり小さくなったりするのかって? いや月の大きさが変化するんじゃなくて、太陽との距離が変化するからなんだよ(だから大きさが変化するように見えるのは太陽の方なのだ)。地球の公転軌道は楕円だからね。太陽が遠くにあるときは小さく見えて、近くにあるときは大きく見えるってわけ。

 ちなみに、皆既日食を見たければ、7月11日まで待ってください。今年は南太平洋で見られるよ。日本で見逃した人は、イースター島へどうぞ。

 そうそう、今年は冬季オリンピックの年だね。2月の12日にバンクーバーで開会式が行われる。日本勢がんばれ! その一ヶ月後には、パラリンピック。こちらも日本勢がんばれ! そして、6月11日には、サッカーのワールドカップだ。日本代表がんばれ……と言いたいけど、まあ、無理だろう。

 ところで、ワールドカップの翌月には(7月)、大きな節目が待っている。ついにスペースシャトルの運営が終わるんだ。NASAの計画どおりに行けば、最後に打ち上げられるスペースシャトルは、エンデバーになるはずだ。

 8月には、ほとんどの人は興味がないだろうけど、国際数学者会議がインドで開催される。この会議は四年に一度しか開催されないんだぜ。

 大きな行事はこんなところかな。たぶんぼくの頭脳と同じように、抜けもあるだろうけど、ご容赦を。

 そういえば、2009年はガリレオが望遠鏡を夜空に向けて400年目だった。さらにダーウィンが進化論を唱えてから150年だった。今年はなにか科学的な行事はあるかな?

 じつはある。何周年記念というわけじゃないけど、2010年は国連の主催する『国際生物多様性年』なのだ。1月11日にベルリンで開会式(のようなもの)が行われた。ちなみに、10月に行われる『国連生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)』は、日本の名古屋で、さらに、12月に行われる開幕式は、石川県での開催が予定されている。

 となれば、生物多様性についてのエッセイを書かなければならないが、それは宿題にしておいて、いまは今年の予想を続けよう。

 毎年1月に、ラスベガスでコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)というのが開かれる。残念ながら行ったことはないけど、好きなんだ、このショーの報道を読むのが。もっと正確に言うと、コンシューマー・エレクトロニクスが好きなんだ。

 コンシューマー・エレクトロニクスというと、範囲が非常に広い。まず思い浮かぶのはTVやDVD、あるいはビデオカメラとかだろうけど、PCだってそうだ。つまり、男の子が好きそうな家電製品は、みんなコンシューマー・エレクトロニクス・ショーで見ることができるってわけ。

 で、今年のトレンドは、どうも3DTVらしい。立体映像が見れるテレビだね。ほら、変なメガネをかけて見るヤツ。普及するには数年かかるだろうけど、今年が元年となりそうだ。ソニーとパナソニックは、春から夏にかけて3DTVを発売するそうだよ。それ以外のメーカーでも、3DがTVに搭載する新技術の主役という印象を受けた。

 そういえば、ジェームズ・キャメロンの『アバター』を見に行かなくちゃ! 家庭用の3DTVは、まだまだ幼稚な装置だけど、劇場で見る3Dとなれば、技術的にもこなれているし、迫力もありそうだ。要するに、遊園地のアトラクションみたいなもんだからね。

 正直言って、家庭用の3DTVは、メーカーが期待しているほど流行らないと思う。この先何年かけてもだ。でも劇場映画は話が別。だって、いまだってみんな、アトラクション体験を求めて映画館に行くわけだよね。TVより圧倒的に大きなスクリーンと、迫力あるサウンドを期待して劇場まで足を運ぶ。これって要するにアトラクションだ。

 だとしたら、そこに3Dの要素が加わるのは必然ですらある。撮影だけでなく上映施設の技術は、とっくの昔からあった。あとはコストの問題だけだったけど、それも最近はかなり改善されている。きっと劇場映画は、3Dが増えていくよ。(言うまでもなく、アクション映画などの、3Dでより楽しめる作品に限られるだろうけど)

 ぼくは、映画は映画館で見るのが好きな古典的な人間だから、3D映画の人気が高まるとうれしいな。それで映画館が生き残れるなら大歓迎だ。

 そこいくと、家庭用のTVは、劇場とは似て非なるものだ。たしかにDVDやBlu-rayで、映画を見ることはできる。けどそれより、ニュースやバラエティ番組を見ている時間が圧倒的に多いよね。そんな番組を、3Dメガネをかけて見たいと思う人がどれだけいるだろうか? そもそもニュース番組を3Dで撮影するテレビ局なんてないよ。

 映像といえば、最近のデジタルカメラは、ハイビジョンで動画が撮れるようになってきたね。前から「ビデオカメラ」でハイビジョンが撮れるのは当たり前だったけど、ビデオカメラはダメだと思う。いや、ダメってのは変だけど、みんな「さあ動画を撮るぞ!」という気合いを入れる日って、どれだけある? 子供が生まれたとか、犬を飼い始めたとか、そんな動機がないと、そもそもビデオカメラ自体を買わないよね。

 でもデジカメだったら、どうだろう?

 さすがに「さあ写真を撮るぞ!」って、気合いの入る日はないかも知れないけど、写真を撮りたいなと思う日は、動画を撮りたい日より、ずっと多いはずだ。写真は手軽なんだよ。一枚という単位だから、時間に縛られない。写真のプリントは簡単だけど、動画の編集は難しい。

 というわけで、ビデオカメラは持ってないけど、デジカメは持ってるという人は、かなりの人数になるはずだ。こう書いているぼく自身もそうだよ。

 そのデジカメで、ハイビジョンが撮れるとしたらどうだろう? たまーに使ってみる気になるかもしれない。それが家のTVにつなげて、すぐに見れることを知ったら、もっと使ってみたくなるかも。

 さらにさらに、最近発売された一眼レフなら、たいていハイビジョン動画を撮影する機能がついているから、静止画用の高品質なレンズで、まるでプロのような映像が、だれにでも手軽に撮れるようになってきた。いや、もっと言うと、部分的には数千万円もするプロ用の機材より、優れた映像が撮れるくらいだ(だからプロたちが、こぞって一眼レフカメラの動画機能を使い始めている)。

 そろそろ予想しておこう。今年は「ハイビジョン映像」の年だと思う。アナログの停波が、いよいよ来年に迫っているので、今年から来年の中頃までの期間、ハイビジョンTVが最後の追い込みで売れるだろう。で、気がつけば自分のデジカメでハイビジョンの動画を撮れるとなれば……

 機材の揃っている人は、ぜひ撮ってみてください。いや、べつにハイビジョンで「作品」を作る必要なんかない。デジカメで旅行のスナップを撮る気分でいいんだよ。友だちが集まったときとか、ちょいとデジカメでハイビジョン動画を撮ってTVに写したら、きっと受けるよ。そんな何気ないシーンでも、解像度の高い映像は、アーカイブの価値があると思う人が増えるかも知れない。

 それに関連して、今年は「クラウド」の年だと思う。クラウドとは、要するにネットのことだけど、もう少し広範囲な意味で使われることが多くて「ネットを使った技術やサービス」と考えてもらえば、まあ、当たらずとも遠からず。

 なぜ「デジカメ」と「TV」にクラウドが関連するかというと、これらの機器はクラウドとの親和性が非常に高いからだ。TVはわかりやすいよね。そもそも情報を表示する装置なんだから、情報そのものと言えるクラウドと、親和性が高くて当たり前。

 そこへデジカメが割り込んできた。デジカメは情報を「作る」装置だ。デジカメが無線LANでTVにつながっただけでも(技術的にはWi-Fiで簡単につなげられる)超便利になるけど、さらに一歩進んで、クラウドにもつながっていたら、最高に便利だぜ。だって、作った情報(撮った写真や動画)を、その場でクラウド上のストレージ(なんらかの記憶装置)に溜め込んで(つまり手軽にアーカイブできて)、さらにそれらを、シームレスにハイビジョンTVに映すことができたら、最高にハッピーだ。

 言うまでもなく、TVに映すだけじゃない。クラウドにアーカイブされたデータなら、世界中どこにいても、ネットに接続さえすれば、PCからもケータイ電話からもアクセスできる。それをWebアプリケーションで簡単に編集して、そのままYouTubeへアップロードできたら、写真の共有サイトに近い手軽さで、ハイビジョン動画を扱えるようになるだろう。

 それらは、すでに技術としてある……という段階を通り越して、個々の機器に注目すれば、すでにコンシューマー用の製品として発売されている。まだ知名度は低いけどね。それに「システム」としては、ぜんぜん完成されていない。でもこれから、ハイビジョンTVやBlu-rayなど、みんなの扱う映像の質が上がっていけば、これらの「システム」がブレイクする可能性は高いと思うね。たぶん3DTVよりも、ずっと優れたアプリケーションになると思う。

 さらに数年か十数年先には、すべての機器がネットにつながるかも。そしたら、外出先のケータイ電話から、家のインターフォンにも出られるだろうし、スーパーマーケットで、冷蔵庫の中にバターや牛乳(別になんでもいい)が残っていたか思い出せなくて困ることもない。外出先から、冷蔵庫の中を見ることができるだろうから。まだSFぽい話に聞こえるけど、WiMAXなどの公衆無線LANが順調に整備されていけば、あらゆる機器がクラウドにぶら下がる日も、そう遠い未来ではないだろう。(要するにインフラだ。インフラが整備されたところには、常に新しいビジネスが生まれる)

 ケータイ電話の話が出たので、こちらも予想しておこう。今年はいよいよ、日本でもスマートフォンが流行るかも知れない。iPhoneに代表されるスマートフォンは、日本独自の(iモードなど各社によって呼び名が違う)ケータイ専用サービスに直接接続することができなかった。それが、日本でスマートフォンの普及を妨げていたのだけど、iPhoneのおかげで、状況は変わってきた。iPhoneはiPodの延長線上にある機器として、若い女の子にまで浸透してきたのだ。

 この状況をうまく利用しないと時代に乗り遅れるぜ! ってわけで、スマートフォンに積極的なドコモとソフトバンクには、大きなチャンスが待ってるかも。とくにドコモは、iモードをスマートフォンでも直接利用できる方法を検討しているようだ。それが実現したら、スマートフォンの売り上げは倍増するどころか、爆発的に売れるかも。

 その点、auは音声通話に使っている方式が違うので、いまや世界から取り残されている。auの方式に合わせた既存のスマートフォンが少ないんだ。かといって独自に開発するのも大変だから、スマートフォンのラインナップを増やすのは難しい。ソニーやシャープから、すごく魅力的なスマートフォンが発売されても、たぶん指をくわえて見ているだけだろう。数年前から苦戦しているauは(ちょっと復活したように見えたけど)、今年も苦しいだろうな。auの通信方式が世界の標準と同じになるのは、2012年まで待たないといけないのだ。この世界で2年のブランクは長い。がんばれau! ぼくもauだから(苦笑)。

 というわけで、好きなコンシューマー・エレクトロニクスの分野だけの予想になってしまったけど、今年もいろいろ、おもしろそうだよ。

 2007年の後半からはじまっていた現在の不況も、そろそろ出口が見えてくるのを期待して、強気に……とは言わないけど、前向きにやっていきましょう!

 あ、そうそう。ホントにチリビーンズのレシピ募集してますんで、ご存じの方はよろしくです。掲示板でもメールでも、なんでもいいんで、教えてくださいませ。


≫ Back


Copyright © TERU All Rights Reserved.