だからなに?


 みなさん、お元気でしょうか? ぼくは、まあ元気です。と言いつつ、気がつけば先月(10月)はScript1を更新してない! ぎゃぎゃ。しかも先月は、Script1が、十年目を迎えた節目だというのに。

 言っときますけど、べつに「書いてない」わけじゃございませんので、どーぞご安心を。なにをって? そりゃもう「召しませMoney!3」ですよ。というか、こいつを書いているせいで、サイトを更新してる暇がないんだよね〜。

 でもまあ、あんまり更新しないと、元気どころか、死んだと思われちゃうかも。だから、なんか書きます。タイトル通り「だからなに?」と言われそうな、くだらないことをつらつら書きますんで、お時間のある人だけどーぞ。


■だからなに? その1

 新型インフルエンザ大変ですな。ぼくも、仕事やプライベートで、影響が出てきましたよ。仕事では撮影する予定だった方のお子さんが感染して、撮影内容を変更せざるを得なくなったり、プライベートでも、一緒に出かける予定の人のお子さんが感染して、これまたスケジュールの変更を余儀なくされた。

 そう。どれも「ご本人」じゃなくて、そのお子さんなんだよね。最近聞いた話では、感染者の75%は、14才以下なんだとか。さらに9才以下の感染者が一番多いそうな。ワクチン接種が始まる前に、お子さまはみんな、自前で免疫を手に入れちゃうね。自治体によって違うだろうけど、大都市圏の場合、就学前の子供の治療費には、なんらかの補填があることが多いから(無料のところもけっこうある)、タミフル処方してもらう方が、ワクチン打つより安かったりして(苦笑)。

 なんて、冗談めかして書いてるけど、もちろん、掛からずにすむのなら、それに越したことはない。ちなみに、いまのインフルエンザワクチンは、感染を防止するものではないので安易な期待は禁物だ。いまのワクチンは、「感染したあとに働く」仕組みなんだ。

 本当に望まれるのは、感染そのものを防止できるワクチンだね。それには、インフルエンザウイルスが「感染するときに示す反応」に対して、うまく機能するワクチンを作らないといけない。理屈の上では可能だけど、そういうワクチンは、いまだに有精卵でワクチン作ってる日本はもちろん、ワクチンの研究が進んでいる国でも、まだ実用化はされていない。今回のパンデミックによって、さまざまな研究が進むことを期待しよう。


■だからなに? その2

 研究が進むと言えば、ずーっと、ずーっと、気になっていたことが、やっとわかるときが来るかも知れない。

 それは生命の起源だ。

 DNAやRNAなどの遺伝物質を作るには、まずヌクレオチドが必要なんだ。ところが、こいつは「自然」にできるとは思えないほど、複雑なブロックで構成されている。具体的には、糖とリン酸と核酸塩基を適切に組み合わせなければいけない。本当に自然にできたのかと問われたら、「できた」としか答えられない。だから、超自然的な力(つまり神さま)に、生命の設計を任せようとするオカルト主義者に対抗して、ぼくは以前のエッセイで、やや苦しい説明を試みたこともあった。

 そんな苦労の甲斐あって(いや、ぼくはなにもしていないが)、ついに、マンチェスター大学のジョン・サザーランドが、ヌクレオチドが自然に生成しうる方法を見つけたようだ。

 彼らは、ヌクレオチドの原料(糖、リン酸、塩基)を混ぜ合わせて、なにかのエネルギーを与えるのではなく、その前段階であるシアン化物とアセチレン、さらにホルムアルデヒドの誘導体から出発した。それにリン酸を混ぜたんだ。

 そしたらなんと、リン酸が触媒の働きをして、2-アミノオキサゾールという分子ができた。この分子は、糖の断片が塩基の一部に結合した形に似ている。この分子のすばらしいところは、安定していて、しかも蒸発しやすいんだ。蒸発しやすいってことは、いったん蒸発した分子が凝固して、どこかに液体として「たまる」可能性を期待させる。どこかに高濃度で「たまる」ことができれば、それが受け皿になって、さらに複雑な反応が進むだろう。

 これら最新の研究が発表されてから、まだ半年もたっていないので、まだまだ研究の進展を待たねばならないけれど、うまいことヌクレオチドができるなら(さらにそれらがポリマーを作る過程も自然に発生しそうだという研究が進んでいるので)、最初の生命はRNAから出発した可能性が高まってきた。科学者は、いつか近い未来に、地球で最初に生まれた生命を研究室で「作り出せる」かもね。


■だからなに? その3

 日本の補給機(以下HTV)が、みごと国際宇宙ステーションにドッキングしましたな。いやあ、めでたい。実際は姿勢制御用のスラスターが過度の使用で加熱して、けっこうヤバイ状況だったらしい。あわててNASAに相談したら、ロボットアームでつかんでもらう時間を早めてくれて、事なきを得たそうだ。JAXAの担当者曰く、NASAの迅速な対応で「ホントに助かった」そうだ。あらゆる事態を想定しているはずだけど、やっぱり、やってみないとわかんないことって多いんだね。とにかく成功してよかった。

 このHTVは、ただ荷物を運ぶ「トラック」じゃない。それまで日本が作ったことのない「安全性」が求められ、それをクリアしたことが重要なんだ。なにせ、人間が暮らしている宇宙ステーションにドッキングするんだから、万が一故障したときに、予備のシステムに切り替える「多重系」の技術開発がとても重要だった。さらに推進薬や電池だって、いままで以上に安全でなければ、人のいるところへ接続できない。さらにさらに、ドッキングしたあと、その中に人間が入って作業できなきゃいけない。これらの課題をクリアできたからこそ、NASAからドッキングのお許しが出たわけだ。

 すばらしいじゃないか。ここまで作れるなら、日本独自の有人宇宙飛行計画に期待しちゃうよね〜。

 でも……人を宇宙に飛ばすってのは、想像以上に大変なことらしい。アメリカとロシアは(むかしはソ連でした)、世界でも最強の軍隊を持っていたから実現できたんだろう。いまの中国もそれに近いかも知れない。事実、宇宙に行くには、軍隊という特殊な組織がないと難しい。と、毛利守さんはおっしゃっている。宇宙船のコクピットに乗るのが軍人だからこそ、命がけの計画が推進できたのだと。NASAで、軍のサポートをまざまざと見てきた毛利さんの言葉だから重みがあるよな〜。

 でもまあ、日本にだって、宇宙に荷物を運ぶトラックを作る技術があることは証明した。いまはそれだけでも、成功を喜ぼう。


■だからなに? その4

 だからなに? って言いつつ、なにげに科学の話題ばっかりですなあ。じゃあ、ここらでマジ軽い話題を。

 ぼくはキヤノンのコンパクトデジタルカメラ「G10」を愛用しているのだけど、後継機種の「G11」が、これまたいいデキで、またまた欲しくなっちゃったという話をどこかで書いた気がする。

 ほしーい!

 けどねえ……あんなに欲しかったカメラを買って、たった一年で買い換えるのってどうよ? 財布に優しくないのはもちろん、地球にも優しくないだろ。だいたい、天気のいい日の野外で使う分には、G11より、画素数が多い分G10の方が有利じゃないか。

 と、自分に言い聞かせて、じっと我慢している。

 ところが!

 こんどは、そのG11と、ほぼ同じ品質の写真が撮れる「PowerShot S90」というカメラが、欲しくなっちゃった! ギャーッ! だって、PowerShot S90ってば、薄くて軽いんですもの〜(高級なタイプとしては)。ふだん持ち歩くのに、G10がちょいとでかくて重いんだよね。でもPowerShot S90だったら……ああ、ダメだダメだ! わたしはカメラなんか買ってる場合ではないのだ。そーだよ。そろそろケータイ電話を買い換えたい!

 だーかーらー、ケータイ電話も買っちゃダメ!

 と怒ってる声が、どこかからする気がする。うーむ。


■だからなに? その5

 わたくし、嫌いな食べ物がけっこうあるんですよ。まず、酢の物全般がダメなんです。果物の酸っぱさはクエン酸だから大丈夫なんだけど、酢酸系が、どーもね。むかし暗室で酢酸の臭いを嗅ぎすぎたせいか、ダメなんです。

 つぎに漬け物全般もダメなんです。ごく希に、浅漬けのキュウリとか白菜とか、ちょっと食べたくなるような気がするようなときも、なきにしもあらずなんですが、まあダメなんです。奈良漬けなんて出されたら卒倒しそう。まんじゅう怖いじゃないですよ。本当に嫌いなんですよ。だからピクルスなんか、ぜったいダメです。酢と漬け物の組み合わせなんて、あんた、わたしを殺す気ですか? ってな勢いでダメです。

 お次は納豆。わたくし江戸っ子ですが、納豆が食えないのです。聞くところによると栄養はあるそうですけどね。栄養があればいいってもんじゃないでしょ。そんなに栄養が大事なら、みんな病院食でも食ってりゃいいじゃないですか。

 だいたいね、想像してみてくださいよ。朝電車に乗っていると、口から納豆の臭いを漂わせているオッサンとかいるわけですよ。たぶん朝飯に納豆を食ってきたんでしょう。張り倒したくなりますよね。きさま! そのハゲ頭と、臭い口を、オレに二メートル以上近づかせるな! と。でも近づいてくるわけですよ。そーいうのに限って。

 ま、そこまで嫌いなわけじゃないんですが、わたくし江戸っ子のくせに、もんじゃ焼きが好きじゃないんです。だってねえ。どー見てもアレじゃないですか。終電すぎの駅のホームによくぶちまけられている、だれかの胃の中にあった内容物に似てません?

 ところが!

 こないだね、京都から読者さまご夫妻がいらっしゃいましてね。ええ、そうです。以前彼女と京都に行ったとき、お世話になった方々。それでですね、その奥さまがですね。もんじゃ焼きを食べてみたいとおっしゃる。しかも、わたくしの彼女がですね、これまた、もんじゃ焼きが好きなんですよ。ふだんのデートでは、ぼくが頑として、もんじゃを食べに行かないので、諦めていたそうですが、ここぞとばかり目を輝かせてですね、まー、お客さまのご所望なら仕方ないわね。オホホ。あんた、もんじゃを焼きなさいとおっしゃるわけです。

 むう。

 というわけで、毒を食わば皿まで、どーせ落ちるなら、奈落の底まで。ってことで、行ってまいりました。もんじゃの聖地「月島」へ。

 すごいっスね、月島。プロ用の写真用品のお店があるんで、場所はよく存じてますが、あえて、もんじゃ街は無視してたんです。このたび、そのもんじゃ街へ足を踏み入れたら、ホントにもんじゃ焼きの店だらけ。けっこう毛だらけ猫灰だらけですよ。なんのことか、サッパリわかりませんが、たしか寅さんは、このあと、「お尻の周りは糞だらけ」と続けるんでしたっけ?

 失礼。汚い話になりましたが、本題は例のアレですよ、終電すぎの駅のホームにぶちまけられた胃の中の内容物。なに? そっちの方がよっぽど汚い? まあ、たしかに。

 ともかく、よさそうな店にあたりをつけて入ってみました。ま、どこも似たような味なんでしょうけど、なんとなく店構えがね。入りやすそうな店があったもんで。

 そこのオバチャンに、もんじゃの焼き方を講義してもらいながら食べました。まあね、そんなに旨いもんじゃないわけですよ。いえ、洒落じゃなく。彼女も、イマイチ自分の好みじゃないらしく、首をひねっていらっしゃる。京都のご夫妻は、初めて食べるもんじゃだから、比較対象がないので、これが「もんじゃ」か! ってなもんで。

 しかし、彼女がつぎに頼んだのが、明太子モチ入りもんじゃ。焼いてみるとですね、明太子がほどよくばらけて、じつになんというかその、アレですよ。いよいよ終電すぎの駅のホームの例のものに酷似するんですが、驚いたことに、味は悪くない。そこそこ、美味しいとさえ言える。しかも、わたくし江戸っ子の血が目覚めたんでしょうか? 妙にうまいんです。もんじゃを焼くのが。いや、アホでもできるって言われたらそれまでですが。

 というわけで、もんじゃ焼きをまだ食したことがない方は、ぜひ月島へお出かけください。終電すぎの駅のホームのアレに似ているわりには、悪くない食べ物のようです。

 ま、こんなとこスかね。ではでは、引き続き小説の執筆に励ませていただきます。どこかで区切りがついたら、Script1の十周年をお祝いしたいと思ってますんで、そのときは、みなさま、どーぞ、よしなに。


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