チェンジしようぜ!


 都議選で大敗したガマガエルによく似た顔の首相が、それこそガマガエルのような脂汗を流して(本当のガマガエルは脂汗をかきません)、ついに衆議院の解散を決意した。べつに決意しなくても、あと二ヶ月ほどで任期が切れるんだけど、その前にクビになっちゃヤバイってんで、自分で解散することにしたらしい。

 まあ、その辺の経緯は密室での出来事なので、ぼくはマスコミの報道を鵜呑みにするしかないんだけど、これから訪れる未来について考えることはぼくにもできる。だから考えてみよう。まじめに。いやホントに、まじめに考えますよ。

 まず、こんどの衆議院選挙は自民党にとって、非常に厳しい結果になるだろうことは、容易に予想できる。麻生首相がどんなに声を枯らしてがんばっても、衆議院でも、自公は過半数を割るんじゃないだろうか。

 そこで提案したい。今度の選挙はもう最初からあきらめて、野党になる覚悟を決めた方がいいんじゃないだろうか。

 いやまじめに考えてますよ。だって、日本の景気がよくなる気配はない。そのすべてを自民党と公明党の責任とは言わないよ。そもそも、いまの日本の政治のひどいありさまは、自民党を支持し続けてきた日本国民に責任があるんだから。そう、悪いのは国民なのだ。それが民主主義というものだ。

 でも、国民はそう思わない。こう言っちゃなんだけど、日本人は有権者の半分ぐらいしか投票所へ行かないくせに(世界的に見て非常に低い)、政治が悪いのは自分たちの責任じゃなくて、自民党が悪い、ガマ蛙に似た総理が悪いと思ってる。

 だからこそ自民党は、一度舞台から降りて、民主党にバトンタッチするのは悪くない選択だと思うんだ。政権にいる限り、どーせ悪者にされるんだから、政権の座を降りて、一服した方がいいよ。選挙で負ければ、自民党の中で昔から人気のなかった麻生総裁を心おきなくクビにできるしさ。

 麻生を辞めさせたあとは簡単だ。舛添みたいな人気のある政治家を総裁に担ぎ上げてから(間違っても東国原はやめた方がいいだろうけど)、与党のすべてにケチをつければいい。それが野党の常套手段だもんな。

 景気はまだしばらく悪いだろうから、いままでやってきた自分たちの政策を棚に上げて、景気が上向かないのは、民主党が悪いと言って、責任を押しつければいい。自分たちが増やし続けた天文学的な数字の借金も、民主党がさらに増やし続けていると非難すればいい。いいよね、責任転嫁。政治家は、みんな責任転嫁が大好きなはずだから、野党になれば、民主党相手に、思いっきり、気の済むまで責任転嫁を楽しめるってわけだ。

 しかも、秋から冬になれば、新型インフルエンザの第二波がやってくる。民主党は第二波を防止できないだろうから、ここでも大いに攻撃して、インフルエンザの流行は民主党のせいだと国民に思い込ませるのだ! なあに、テレビの言うことなら、なんでも信じちゃう国民をだますなんて簡単簡単。

 で、狙うのはつぎの参議院選挙だ。ちょうど一年後、来年の7月に121名の改選がある。

 そう、いまは野党が過半数を持ってて、自民党にとって盲腸のように政策をやりにくくしている参議院。野党に下野した自民党と公明党は、さっき提言したとおり、徹底的に民主党の政策にケチをつけて、民主党=ダメ政党のイメージを国民に植え付け、参議院選挙で勝つのだ。参議院で勝てば、やっと政権政党になった民主党はガラガラとがれきが崩れるように自滅するだろう。麻生さん以上に、衆議院をやけくそ解散しなきゃいけないかもしれない。そうすれば、衆議院選挙でも難なく勝てて、しかも自民党単独でも過半数を確保できるかも知れない。そうなれば、公明党だって切れる。自民党のみなさん、本当は公明党と手を切りたいんだろ?

 どうよ。悪くないよね、このシナリオ。下手に政権を維持して、政策決定能力のない政府を作るより、いちど下野して、エネルギーをためてから舞い戻った方が絶対に自民党のためになると思う。まあ、ゴキブリのようにしぶとく生きて自民党の陰の実力者になった森元首相は、ぼくの提言なんか聞かなくても、それこそ、ゴキブリ並にしぶとく生きる手を考えてるんだろうけどさ。

 さあ、そうすると困るのが民主党だ。せっかく政権を取っても、景気が回復しないと国民の支持は長続きしない。いままでの政府(自民党)が悪いんだと言って許されるのは、せいぜい三ヶ月だろう。政権を取って100日を過ぎて、なんの成果もないんじゃあ、国民は一気に冷める。しかも下野した自民党が、あることないこと、なにもかも民主党が悪いとケチをつけてくるはずだ。そのうち、郵便ポストが赤いのも民主党が悪いって言い出すぜ。

 そこで、民主党にも提言したい。もし政権を取ったら、まず自民党を弱体化させるのだ。具体的には、いわゆる政治改革をすればいい。高速道路を無料にするのもいいけど、そっちの方が簡単だぜ。たとえば政治家の世襲を防止するのは即効性があるだろう。自民党なんて世襲議員ばっかりだもんな。政治家が引退したら、血縁者が同じ選挙区から立候補できないようにすればいいだけだ。高速道路を無料にするのは、いろいろ難しい問題もあるけど、世襲を防止する法律なんて、その気になれば、明日にでも国会に提出できる。

 もちろん、自民党は大反対するだろう。彼らは反対すればするほど国民の支持を失う。そんなこと自分たちもわかってるだろうに、どうしても支持基盤を子供に譲りたい気持ちが勝って、やっぱり反対してしまう。バカ議員のバカ息子は政治家くらいしかできる仕事もないしな。

 この法案で、民主党は半年ぐらい人気を維持できるんじゃないかな。そのあとも、景気が回復するまで、自民党が大反対する法案を小出しに出していけばいい。マスコミや知識人から骨抜きだなんて批判されない、本当に効力のある政治資金の規制法とかね。政治資金の規制は、民主党の議員も反対するだろうけどさ(苦笑)。

 そうこうするうちに、インフルエンザがやってくる。さあ大変だ。でも、じつは新型インフルエンザの第二波は、神様でもない限り防ぐのは難しい。そういう基本的な科学的知識を隠すことなく、正直に国民に話せばいい。その上で、やるべきことを、キチンとやりさえすれば、国民は納得するはずだ。自民党は日本国民を衆愚と思っている節があるけど、じつは、日本国民は世界的に見て、非常に教育水準が高い。話せばわかる人たちなのだ。

 しかも、ありがたいことに、新型インフルエンザの致死率は、季節性のインフルエンザとそれほど変わらないという意見が多い(季節性より強いという研究報告もある)。さらに、各地で採取された新型インフルエンザの株は、どれもよく似ているという報告も、人類にとって悪くない話だ。それは複数の変異株が、同時多発的に人間に感染したわけではないことを示している可能性がある。簡単にいうと、今度の新型インフルエンザは、たった一匹の豚から出た新型のウイルスが、たった一度、人間に感染して、それが蔓延したのかも知れないんだ。もしそれが事実なら、冬にはそれなりの数が用意できているだろうワクチンは、型がよく一致して、よく効くかも知れない。流行を抑えるのは難しいけど、その影響は、予想よりもずっと小さくて、春になるころには、なーんだ、心配することなかったねで済むかも知れない。

 ちょっと希望的すぎるかな? でも悲観する理由は、いまのところそれほど多くないから、専門家が必要と考える対策を政府が怠らなければ、本当に大したことなく第二波をやり過ごせるかもよ。もし、そうなったら、民主党は最善を尽くして、新型インフルエンザの流行を最小限にとどめましたと宣伝すればよろしい。事実ではないかもしれないが、嘘でもないという微妙なところだけど(苦笑)。

 そんなこんなで、景気の回復がなくても、なんとか人気を維持したまま参院選まで持ちこたえられたら、一安心だ。そのころには景気も循環して、長い長い不況に、終わりが見えてくるかも知れない。そしたら言うまでもなく、民主党は景気を回復させましたと宣伝する。そして、景気の回復がいよいよ本格的になってきたら、タイミングを逃すことなく衆議院を解散し、さらに議席を増やして、自民党を叩きのめすのだ!

 いかがでしょう鳩山さん。それとも陰の実力者の小沢さんに言った方がいいかな。

 ともかくだ。今度の選挙では、菅さんに、また愛人がいたとか、鳩山さんが、どっかに裏金をごっそり隠してたとか、でかいスキャンダルが発覚しない限り、民主党は政権を取れるチャンスが十分にある。

 ぼくは昔から、野党の政策が、自民党のそれと大差ないとしても、政権を交代するだけでも意味があると訴えてきた。与党=自民党という図式が、あまりにも長すぎる弊害は枚挙にいとまがない。それを断ち切るのは、国民の義務だ。二大政党制が完ぺきだとは言わないけど(アメリカの政治は完ぺきか?)、一党独裁より、ずっとマシだ。

 さあ、日本国民のみなさん! 政権政党を変えようじゃないか。われわれにもチェンジする力があるはずだ。もしも、日本の政治を変えることができたら、勝ったのは民主党ではない。勝者は日本国民なのだ。そう、これを読んでいる、あなたのことだよ。


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