無線は麻薬だ


 ブログの連載小説、『プレイデイ』が無事に終わった。よかった、よかった。毎日更新はキツイかなあと思ったけど、けっこう楽しく書けたよ。そのおかげか、平行して書き進めている召しませMoney!3も、筆が進んでいます。プレイデイが潤滑剤になったかもね。もっとも召しませMoney!は、超難物だから、完成までには、まだ時間が掛かりそう。もうちょい待っててね。

 さて、そんなわけで、相変わらずいろいろ書いてるわけですが、今回は前に書いた無線LANの続きみたいなことを書いてみようかなと。

 ちょうど一ヶ月前、無線LANを導入した話を書いた。あれから一ヶ月。コードから解放されれて、いつでもどこでもネットにつながるのは、やっぱり快適。ノートPCを使っている人で、まだ無線LANじゃない人は、いますぐ導入すべきだ! と、断言したくなるほどだね。

 とはいえ、ネットにつながるのは当たり前。そうしたくて無線LANを導入したんだから、じつは無線でネットにつながっても、それほど感動はない。ところが、LANで共有しているプリンターを動かしたときは、けっこー感動したな。

 べつに、不思議でもなんでもないんだけど……線がつながってないのに、プリンターが動いているのを見るのは、やっぱり、なんか不思議。たとえて言うなら、ロボットをリモコンで操作している感じかな。すごく好き。そういうの。男の子だから(笑)。

 そう思うのはぼくだけじゃないらしく、Wi-Fi(無線LANとしてもっとも成功した規格)を、デバイスを遠隔操作するためのリモコンとして使おうって機運が盛り上がってきてる。すばらしい〜。もちろんそれは、コンピューターだけの話じゃなくて、そのうち、リビングのテレビだって、ゲーム機やBlu-rayレコーダーなんかと無線でつながるのも、当たり前になるかも(いまだってやってる人はやってる)。それぞれが無線でつながり、それぞれの機器を制御し、さらにPCからもすべての操作ができるなんて、まるでSFだ。いやまあ、そこまで難しく考えなくても、オーディオ機器の配線が苦手な人も喜んでいいはず。だって、必要なのは電源コードだけで、あとは機器同士が勝手につながって、すぐ使えるようになるんだから。

 冗談じゃなく、無線LANを導入してから、本気でぜんぶ無線にしたいって思った(笑)。電源コードは電力を電磁誘導しないといけないから、ちょっと難しいとしても、そのほかのケーブルを無線にするのは簡単なはずだ。やろうと思えば、いますぐにでも、かなりのケーブルが無線にできる。

 まず、キーボードやマウスは簡単だよね。ぼくはもう、尻尾の生えたマウスを使うなんて考えられない。いまやPCに、なくてはならないUSBだって、無線にできる機器がすでに販売されている(まだ一般的じゃないけど)。モニターに映す映像も、まだ無線で飛ばす機器が一般的とは言えないけど、これだって時間の問題かも。

 まあ、なにもかも無線になるってのは、少し未来の話だけど(と言っても、あと二、三年かもよ)、まさに今日(2009年7月1日)から始まる無線規格がある。

 それはWiMAX。ワイマックスって読んでね。

 このWiMAX、日本ではUQコミュニケーションズ(以下UQコム)という会社が、免許をもらって試験サービスを始めていた。それが今日、いよいよ本格的な営業を始めるんだ。UQコムは、KDDIの子会社……じゃないけど、それに限りなく近い(お国から免許をもらうときの約束で、KDDIはUQコムを子会社にはできない)。

 ちょっと説明しよう。

 家庭やオフィスで使われる無線LANは、Wi-Fiという技術を使っている。これは無線LAN機器を、相互に接続するための認証技術だ。いまさっき、機器同士が勝手につながると便利って書いたけど、Wi-Fiが、まさにその技術なんだよ。ユーザーは、最初に簡単な設定をするだけで、あとはもう、なーんにも考える必要はない。パソコンの電源を入れれば、なにもせず、もうLANに(ネットにも)つながっている。

 ところが。

 Wi-Fiは、ごく狭い範囲にしか届かない無線規格を元にしているので、家庭内やオフィスの中だけでしか使えない。ケータイ電話のように、どこでも使える訳じゃないんだ。

 それは不便だねってことで、ホットスポットと呼ばれる場所が作られた。それは公共の場所とか(駅や空港)、お店とか(カフェとか)にWi-Fiの送信機を設置して、そこに行けば、ネットにつなげられますよって場所なんだ。

 もっとも、あなたのノートPCに、Wi-Fiの受信機が内蔵されていても、ホットスポットに行くだけでネットにつながるわけじゃない。そのための契約を、NTTなりプロバイダなりと、結んでおく必要がある。とーぜん、月額何円って形でお金を取られる。

 ハッキリ言って、この方法は、そんなに便利じゃないわけですよ。そこら中がホットスポットだらけなら、まあ、便利かもしれないけど、残念ながら日本ではそういう状況にはなってない。外国では、すごく普及している国もあるらしいけど、日本では、東京のような都会ですら、いつでも、どこでもネットにつなげられるって状況にはほど遠い。

 これらの不満を一気に解決するのが、WiMAXってわけ。WiMAXは、Wi-Fiと同じように、一度設定をすれば、もうユーザーがなんにも考える必要はないっていう、超便利な無線の規格で、しかもWi-Fiと違って、ケータイ電話みたいに、すごく遠くまで届く無線規格を元にしてるから(さらに言うと120キロで移動してても大丈夫な移動体通信規格でもある)、まさに、ケータイ電話感覚で使える無線LANって感じなわけよ。

 しかも、うれしいことにUQコムは、お国から免許をもらったWiMAXの営業権を垂直統治はしないという。ケータイ電話は、docomoやauなどが、完全に垂直統治しているから、docomoならdocomo、auならauの販売している端末しか使えない。

 ところが、UQコムは、WiMAX網の土管屋さんに徹するようだ。つまり、WiMAX用の機器をどこが作ってもいい。さらに、UQコムからWiMAX網を借りて、どの会社も無線でのネット接続をお客に売れる。だから、既存のプロバイダ(ニフティとか)だけじゃなく、ビックカメラのような量販店までも、さっそくWiMAXでの無線接続を売り出してる。

 問題は料金だよね。WiMAXが、ケータイ電話の通信料金より、ずっと安くないとだれも使わない。基本料金は4500円くらいだから(もちろん、この料金は24時間ネットにつなぎっぱなしのお値段)、まあ、劇的に安いとは言わないが、ブロードバンドの常時接続料金としては悪くはない。うまくすれば、家のブロードバンドを解約して、WiMAXだけにしちゃうこともできるわけだから。

 うまくすれば?

 そう。UQコムは、一契約で接続できる機器を三台までとしている。一台増やすごとに200円取られるけど、ブロードバンドを、二回線契約することを考えれば安いよね。(ただし、UQコムからWiMAX網を借りて営業している会社では、一契約で一台しかつなげられないかも知れない)

 そう考えると、スマートフォンと呼ばれるiPhoneや、BlackBerryなんかが、WiMAXに対応してくれたらいいなあって思うな。スマートフォンは、手のひらに乗るネット接続端末としてだけじゃなく「通話」もできるからいいんだろうけど、日本ではケータイ文化ってのが発達しちゃって、なかなかスマートフォンだけにするのが難しい。スマートフォンとケータイ電話を二台持つなら、スマートフォンで「通話」できなくてもいいし。また、通話をあきらめるなら、ケータイ電話の会社と回線の契約をしなくていい。そうすると、毎月取られる基本使用料と通信料をあわせて、一万円近いお金が節約できるわけだ。すごいじゃん。毎月一万円ってでかいぜ。

 なんてことを考え出すと、WiMAXの夢は、どんどん広がる。リビングのテレビも、あるいはゲーム機も、Blu-rayも、みんなWiMAXに接続したい。腕時計だって、WiMAXでネットにつながったら、映画の007で見たスパイウォッチみたいなことができるだろう。そんなGショックがカシオから発売されたら、ぜったい買っちゃう(笑)。

 あとあれだ、カメラだカメラ。WiMAXで接続して、撮った写真をその場で、どんどんネットのストレージに保存できたら、フォトグラファーとしては超便利。最近はやりの液晶で写真を表示するフォトスタンドもWiMAXでネットにつなげたい。ネットにつながってれば、表示させる写真を手間なく変えられる。たとえば、田舎にいる爺ちゃん婆ちゃんに、そのフォトスタンドをプレゼントしておけば、東京で孫の写真を撮るたびに、田舎の爺ちゃんちのフォトスタンドに、最新の孫の写真が表示されたりするわけだ。ステキ。

 ぼくがいま思いつくのはこのくらいだけど(じつは、まだ思いついてるネタがあるんだけど、それは小説に使いたいから秘密なのだ(笑))、WiMAXが普及したら、きっと頭のいい若者が、だれも考えたことがないすごいこと思いついて、会社を興すだろう。(ああ、ぼくにその才能があれば……)

 しかし、それには、UQコムの料金体系に問題がある。さっきぼくは、UQコムとWiMAXを契約すると、三台まで機器を接続できると書いた。一台増えるごとにプラス200円だと。

 そんな台数ではぜんぜん足りない。だって、家のPCに、外出用のノートPCに、テレビにゲーム機にBlu-rayにBlackBerryに腕時計にカメラにフォトスタンドに……これだけでもう9台だぜ(苦笑)。

 もっとも、家の中で使うなら、WiMAXをWi-Fiに接続して、いわゆる家庭内の無線LANにしちゃえば、いくらでも接続機器を増やせる。デスクトップPCや、リビングのテレビなんかは、これで解決するだろう。でも、いまやゲーム機だって携帯型が人気だし、腕時計やカメラは外で使うのが当たり前だし、って考えると、やっぱり三台は少ない。

 だから、機器と料金をセットにするんじゃなくて、人と料金をセットにできないもんだろうかって思うよね。一人の人間が、複数の場所で、複数の機器を接続する状況は、それほど多くないはずだから、トラフィックはそれほど増えないと思うんだけど。一台につき200円も止めていただきたい。これも人間単位で計算していただいて、一人の人が、WiMAXに接続できる機器を何台持っていようと、料金は4500円ぽっきりってことにできないもんだろうか。極端な使い方をする要注意人物は必ず現れるだろうから、これも「人」単位で、通信量に制限を掛けるとかなんとかして、ネット社会の安定を守れないもんだろうか。

 簡単に書いてるけどね。きっと、技術的には、難しいことが山ほどあるんでしょう。でも、技術は技術で解決できはずだから、ぜひ、将来的には、そうしてもらいたいな。

 あ、ちなみに、外野でがやがや言ってるだけでなく、WiMAXは、ぼくもマジで契約しようかと思ってます。だって、一度無線の便利さを知ると、もう後戻りはできないんだよ。無線は麻薬だ(苦笑)。


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