G10写真紀行(大げさ)


 前回のエッセイで、えらそーなこと書いた割には、けっきょくアレも買いたい、コレも買いたいという物欲を披露して終わったわけですが、その後、決意と宣言の通り、新しくデジカメを買いました。

 買ったのはですね、キヤノンの「PowerShot G10」というコンパクトカメラ。コンパクトとはいえ、キヤノンのコンパクトカメラの中では一番大きくて重いんだよね。もちろん値段も、一番お高いのだ。でもね、ネットで探すと、安いところでは4万円ちょっとで買えるんだよね。いい時代になったもんだ。ぼくもネットで、43,500円にて購入。この値段で4GBのSDカードがオマケでついてました。聞いたこともないメーカーのSDカードだったけど(苦笑)。

 さて。カメラを買ったら、鎌倉にカメラテストという名のデートに行くことになっていたので、行ってきました。三連休の初日。鎌倉は雲ひとつない快晴。カメラテストならぬデートにはもってこいの日ですな。

 でも、目的はカメラテストなので、ちゃんと撮影してきましたよ。その一部を、ここに掲載させていただきます。プロが撮った風景写真なのに、こんな程度? という厳しい評論は受け付けておりませんのであしからず。デートで回れるぐらいの範囲じゃあ、こんなもんですよ、お客さん。


写真その1
竹林で有名な報国寺のかえで。ぜんぜん紅葉してません。むしろ夏真っ盛りてな勢いの緑。
報国寺 まだ紅葉には早かった



写真その2
報国寺の竹林。本当は、下の散策道まで入れたかったんだけど、観光客(ぼくも人のことはいえない)でごった返していたので、道は入らないように撮影してみました。ちなみに報国寺の拝観料は200円。このお寺にははじめて行ったんだけど、思っていたより竹林が小さくて、ちょっと肩すかし。
報国寺の竹林



写真その3
報国寺の竹林。逆光になっていたところのシルエットがきれいだったからパチリ。
報国寺の竹林



写真その4
報国寺の竹林。風にざわめく竹林を表現してみました。でも本当は無風なんだよね。まず手前の葉っぱをぼかして、わざと手ブレするようにシャッターを切ると、こんな感じになるのだ。
風にざわめく竹林



写真その5
報国寺の隣のお寺。あれ? お寺の名前を忘れちゃったよ。このお寺は、100円の拝観料の割に、撮るポイントが多くてお得だった(笑)。そのお寺の上にあるカフェに、レモンの木があったのでパチリ。コンパクトカメラは、バックがボケにくいけど、フォーカスをマクロモードにして、レンズを一番望遠にすると、そこそこボケる。
レモンの木



写真その6
木にツタがからまっていたのでパチリ。
ツタ



写真その7
拝観料100円のお寺の屋根。
お寺の屋根



写真その8
鎌倉といえば鶴岡八幡宮でしょう。けど、観光客の数が尋常ではなく、とても中に入る気は起きなかった。だから、入り口の手前のお堀みたいなところで、ちょっとだけ紅葉を見つけたのでパチリ。
ちょっとだけ紅葉



 と、こんな具合です。

 PowerShot G10 で検索すると、ネットにさまざまなレビューが載っているので(たとえばこれとか)、ぼくがいまさらいうことはあまりないけど、個人的に思うところを、ちょいと書いてみたい。

 高級コンパクトカメラは、写りをよくするために、とうぜんレンズが大きい。だからレンズを保護するカバーを自動開閉式にするのが難しく、レンズキャップをつけるタイプになっちゃうことが多いんだよね。たとえば、パナソニックの「LUMIX DMC-LX3」なんて、かなりソソるスペックなのに、レンズキャップがどうしてもイヤで、買う気になれない。同じ理由で、リコーのGX200も購入候補にならない。リコーもそのことは十分に理解していて、GX200はレンズキャップに工夫を凝らしている。なるほど、うまく考えたと思うし、評判もいいみたいだけど、ぼくは、どうも好きになれない。なんか建て増しみたいじゃない?

 となると、購入候補は、ニコンのP6000か、キヤノンのG10ぐらいしかないのだ。ぼくは仕事でキヤノンの一眼レフを使っているので、とうぜんストロボなどの周辺機器もキヤノンで揃えている。G10はコンパクトカメラながら、一眼レフ用のストロボが使えるから、買うのはもう、G10で決まりでしょ! ってわけだ。

 でも、G9までは、購入候補じゃなかった。なぜかって? それはレンズが広角じゃなかったから。G10になって、やっと広角レンズといえる画角になったので、急に魅力が倍増しちゃった。じつはいままで、G9は広角レンズじゃないから、べつにほしくないよ。なんて自分に言い聞かせていたんだけど、その理由がなくなって、もう、ほしくてほしくて、たまんなーい! 状態になっちゃったのだ。

 以上の購入動機が、G10の使い勝手の、かなりの部分を占める。レンズカバーが自動開閉式なので、撮りたいときに、すぐに撮影ができる。キャップを外す手間も、外したキャップをなくしちゃうヘマもしなくてすむ。そして肝心のレンズが広角だから、風景の広がりを撮影できる。

 だからって、写りが悪ければ意味ないけど、G10の画質は、高級コンパクトの名に恥じないと思うよ。そりゃ欲を言えばキリがないので、一眼レフとは、比べものにならないけど、それはいわない約束でしょってところですな。すごーく、美しいデジタル画像を撮影したければ、迷わず一眼レフをお使いなさいって感じ。

 あと、細かい使い勝手でいうと、プロや写真好きの人だったら、非常に使用頻度が高い「露出補正」が、専用のダイヤルで用意されてるのがいい。これまた欲を言えばキリがないので、できれば、右手で操作できるようにしてほしかったけど、専用ダイヤルがあるだけで、キヤノンの社長さんありがとーう。と、感謝するべきだ。そのくらい、専用ダイヤルで露出補正ができるのはありがたい。

 それと、カスタム設定が、モード変更ダイヤルに登録できるのもいい。さまざまな撮影モードや、いろんなパラメーターの組み合わせは、かなりの数になるけれど、その中で、自分がよく使うパターンを、2つダイヤルに登録できる。

 設定できる項目を、基本的なことから説明すると、まずは露出の制御方法。最近のカメラには、大きく分けて三つの露出制御がある。露出をすべて自分で決めるマニュアル操作と、ある程度カメラに任せる半分オートと、ぜんぶカメラに任せる完全オートの三つ。

 このうち、自分でぜんぶやらなきゃいけないマニュアル操作は、一眼レフにはたいていついてるけど、コンパクトカメラの場合は、G10のような高級タイプじゃないとついてない。

 正直に言うと、高級コンパクトとはいえ、しょせんコンパクトカメラ。一眼レフのように撮影の幅が広くないから(たとえばボケがうまくコントロールできないとか)、マニュアル操作ができる意味はあまりない。もちろん、無意味というつもりはないけど、実用性というよりは、精神性の方が強いかな。カメラ好きは自分ですべてコントロールできると思うと、気分が盛り上がるんだよね。まあ、なんというか、その気になれば、なんでもできるっていう「余裕」が、高級を名乗るためには必要ってことなんだと思う。ぼくもG10にマニュアル操作が搭載されていなかったら、買わなかったかも。

 で、写真好きも一番使うのが、半分オート。カメラという機械は、レンズの絞りとシャッタースピードの二つの組み合わせで「露出」を決めていて、そのうちの、絞りかシャッタースピードのどちらかを自分で決めて、残りをカメラに任せる撮影方法だね。メーカーによって、呼び方がちがうかもしれないけど、ふつうは「絞り優先オート」とか「シャッタースピード優先オート」などと呼ぶ。カメラにAvというマークがあったら、それは絞り優先オート、Tvというマークは、シャッタースピード優先オートだと思っていい。どちらにせよ、この半分オートを選んだら、細かい露出の調整は、露出補正という機能を使うんだ。さっき書いた通り、G10には、露出補正に専用のダイアルが割り当てられているので、とても楽に撮影できるってわけ。

 最後に、写真好きはあまり使わないけど、一般的にもっとも使われるのが、完全なオート。いま説明した絞りもシャッタースピードも、すべてカメラにお任せするモードだ。この完全オートは、一番よく使われるので、メーカー各社の腕の見せ所でもある。ある一定のプログラムに従って、ただ段階的に露出が変わるだけのモードにはじまって(通常はプログラムのPという文字に合わせると、このモードになる)、お花を撮るのに適した組み合わせを選んでくれるモードとか、ポートレート(ふつうの人は記念写真?)を撮るのに適した組み合わせとか、あるいはスポーツを撮るのにいいとか、それぞれの撮影シーンによって、プログラムの内容を変化させるように進化している。

 余談だけど、完全なオートでも露出補正で細かい露出の調整ができる。この調整で写真の善し悪しが大きく変わるから、あなたがもし、これからコンパクトカメラを買うつもりなら、買おうと思っているカメラの、露出補正がやりやすいかどうかを調べたほうがいいよ。余談終わり。

 さらに、デジタルカメラの場合は、感度が一定の範囲で変えられる。色の乗り方(彩度)も変えられる。極端な場合は、色のないモノクロ写真にするモードもあるくらいだ。それから記録画素数も変えられる。さらに高級コンパクトになると、記録するデーター形式に、パソコンでレタッチするのが前提になる、RAWという、やや特殊な方式もチョイスできる。

 説明が長くなったけど、上に挙げたさまざまな撮影パターンの中から、自分にあった組み合わせを選ぶのも、デジタルカメラで撮影する楽しみのうちだよね。でも、撮影モードを変えたいと思うたびに、毎回毎回、いろんな設定をメニュー画面から選んで、組み合わせを変更するのは大変なのだ。

 というわけで、G10の場合は、よく使う組み合わせを、2パターンまでダイヤルに登録して、すぐさま呼び出せるようになっている。この機能は、便利なだけじゃなく、自分だけのG10を作る楽しみでもあるんだよね。

 以上のように、G10には、おおむね満足している。何度もいうようだけど、欲を言い出したらキリがないから、不満が皆無ではないけれど、現段階では、よくできたカメラだと思うよ。

 もちろん将来は、画質がもっと向上し(画素数はもう向上しなくてもいいけど)、使い勝手もさらに洗練されていくのだろう。だから、G15ぐらいになったら、買い換えたいと思うかもね。

 というわけで、カメラ購入日記でした。お粗末さま。


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