呪文を唱えよう!


 ぼくが、たまたまタバコを吸わなくなって、もう一年以上がたった。世間一般では、こういう状態のことを「禁煙」というらしい。むう。

 そういえば、ぼくがタバコを吸っているころ、彼女がずっと「禁煙、禁煙」と、呪文のように唱えていた。もしかしたら、アレは本当に、なにかの呪文だったのかもしれない。ぼくの喫煙習慣は、彼女の呪文で封印されちゃったのかも。って、ぼくは妖怪か(苦笑)。

 いやいや。案外冗談ではないかもしれないぞ。最近の彼女さまは、クリスマスのデコレーションになる(なった?)ディズニーランドに行きたいと呪文のように唱えているので、これが実現したら、マジで呪文の効果はあるかも。そして来年になったら、桜が満開のころの京都に行きたいと、新しい呪文を唱えはじめるに違いない。

 考えてみれば、彼女や奥さんの呪文に操られている殿方はぼくだけではあるまい。呪文恐るべし。どうしましょうね、全世界の男子諸君(苦笑)。

 呪文といえば、今回めでたく大統領に当選した、バラク・オバマも「チェンジ」という呪文を唱え続けていた。彼が本当にアメリカを変えられるかは、まだ未知数だけど、少なくともアメリカは変化の第一歩を歩みはじめた。白人ではない彼が大統領になったのだから、それだけでもう、大変な変化だ。

 ただ、オバマのような、白人ではない大統領は、徐々に珍しくなくなるだろう。アメリカは先進国の中で、唯一人口が増えている国だけど、増えているのは、主にヒスパニック系と呼ばれる有色人種で、白人に限っては、ほかの先進国と同じように数が減っている。ということは、必然的に、いつかは有色人種がマジョリティーになるわけだ。

 まあ、未来のことはともかく。

 問題はいまだ。オバマさん、すごく大変なときに大統領になったもんだね。グリーンスパン曰く、いまのアメリカには「100年に一度の津波」が押し寄せている。グリーンスパンのいった津波とは、金融危機のことだけど、そのまま「不況」と言い換えても間違いじゃないだろう。

 はたしてオバマは、本当にアメリカをチェンジさせられるのか。アフガニスタンやイラクを持ち出すまでもなく、外交で問題は山積しているのに、それ以上に経済の問題が、彼の肩に重くのしかかる。

 ぼくは、彼の演説を報道でしか見たことがないけど、それでも彼の頭の良さが伝わってくる。だから、彼なら困難を克服できるような気もするし、頭の良さだけでは国は動かせないような気もするし、人の国のことながら、すごく心配。本当に、本気で、オバマさんには、かんばってもらいたいと思ってます。

 そういえば、日本のガマガエル……失礼。ジャバザハット……いや、ちがう。麻生だっけ? 忘れちゃったよ。とにかく、最近首相になったヤツも「解散」とか呪文を唱えてたように思うんだけど、年内の解散は見送ったそうで、伝え聞くところによると、来年の4月以降になるって? なにそれ? 選挙管理内閣じゃなかったの?

 うーむ。しょせんガマガエル……失礼。彼もお坊っちゃまなのかな。解散を先送りにしている間に、どんどんいろんな問題が噴出して、どんどん支持率が低下しているから、来年はもっと厳しくなるだろうになあ。ぼくは自民党を支持してないから、ザマーミロって気もするけど、でも、日本国民としては、あのガマガエルの肩に、日本の未来が乗っかってるわけだから、そりゃ本気でマズイだろって思うわけ。だって、彼の発言を聞いていると、オバマとは対照的に、こいつバカなんじゃないか? と不安になるんだよ。かんべんしてくれよって感じ。

 でも、考えてみれば、ガマガエルに罪はないのだ。そういう人物を首相に選ぶ自民党を、ぼくらは勝たせ続けてきたんだから。罪があるのは、われわれ国民。政策に失敗したらもちろんだけど、たとえそうでなくとも、権力は必ず腐敗するんだから、民主国家の国民としては、どこかのタイミングで、政権を交代させるべきなんだ。

 ところが!

 ぼくらは、その義務を放棄してきたわけだ。だから、あんなのが首相になっちゃう。チェンジという呪文は、ぼくたち日本人にこそ必要だね。

 そのためには、やらなきゃいけないことがある。もちろん「選挙」をやらなきゃいけないけど、ここに、すごーく、すごーく深刻な問題がある。

 日本の投票率は、悲しいほど低いんだよ。いや、マジで恥ずかしい話なんだけど、ここ十年以上、いつも60%台で、ひどいときなんか、たった57%だぜ。泣けてくる数字じゃないか。日本と同じように政治に無関心だといわれるアメリカでも、ここ最近は80%台に乗ってる。いいときは90%にも迫る勢いだ。さらに、投票率で世界ナンバーワンのトルクメニスタンに至っては、なんとビックリの99%だ! まあ、あそこは独裁国家だから、参考にはならないけど。

 というわけで、ガマガエル……失礼。麻生くんが、いよいよ解散総選挙する気になったら、みんな投票に行こうぜ。われわれの投票も虚しく、民主党に代表される野党に日本を変える力はないかもしれない。けど、それでもいい。政党を変えるだけでも変化の一歩だ。たったの一歩、それも効果のない一歩だと、虚しく思ってはいけない。その一歩をはじめなければ、なにも起こらないのだから。未来を信じて、がんばろーう!

 と、デカイ話をしたあとで恐縮ですが、個人的にも唱えている呪文がある。

 ネットブックがほしいなあ〜。なんて。

 いや、ホントにいきなり、話がしぼんですいません。でも、ほしいんだもん。

 ちなみに、ネットブックとは、中身にインテルのチップを使ってる小さなノートパソコンのことだ。ミニノートだね。なぜインテルの部品限定なのか詳しく知らないけど、たぶんインテルが商標登録したからじゃないかな? で、インテルは、インテルの部品を使っているメーカーにのみ、ミニノートを「ネットブック」と呼んでもいいと許可しているらしい。いわゆるブランディングですな。

 インテルのブランディングに興味はないので、このエッセイでは、より包括的なミニノートという呼称を用いたいと思うしだいであります。コホン。

 で、最近になって、テレビでもミニノートが売れてるなんて報道があったらしいけど、PCに詳しい人は、なにをいまさらって感じだよね〜。家電量販店のPOSデータを集計している株式会社BCNの報告によると、PCの販売でノートタイプは全体の75%。その中でミニノートは25%を占めているんだそうだ。今後もその比率は上昇し、おそらく30%まで行くだろうと予想されている。

 さらに興味深いのは、日本で売れているノートパソコンは、ほぼ日本製品で独占されていたのに、ミニノートに限っては、そのほとんどが外国製だってこと。

 日本勢は出遅れた! たしかに。でもまあ、日本メーカーにだって、ミニノートで後れを取ったのには、言い訳がある。

 そもそも、インテルは新興国で安いパソコンを作るために、安い部品を作って、台湾メーカーと手を組んだ。その新興国用の安いパソコン(ネットブック)ができてみると、なんとビックリ、いわゆる先進国といわれる国で、バカ売れしちゃったのだよ。それで日本メーカーは出遅れちゃったというわけ。

 で、いよいよ、ミニノートの市場が拡大すると、その影響は深刻になってきた。ミニノートだけのシェアを見ると、2008年9月の段階で、日本エイサー(本社は台湾)が39.4%、ASUSTeK(台湾)が38%で、この世界の2強。第2グループは、MSI(台湾)が5.3%、HP(アメリカ)が4.8%、工人舎(日本)が4.4%、オンキヨー(日本)が 4.3%となっている。要するに、エイサーとASUSTeKの2強以外は、ドングリの背比べで、その中にさえ、日本企業は2社しか入っていない。

 となれば、当然ノートPC全部を含めたシェアにも影響がある。2008年10月のノートPC全体のシェアは、東芝15.7%、富士通14.6%、NEC14.5%、ソニー13.6%、日本エイサー11.7%、 ASUSTeK9.4%という順位だ。

 どうよ。ミニノートが発売されるまで、日本エイサーとASUSTeKなんて、聞いたこともない人がほとんどだろうに、いまや、日本エイサーなんか、ソニーに迫る勢いだぜ。ソニーさん真っ青だね。

 さらにさらに、デスクトップまで入れた、PC全体のシェアでも、日本エイサーが10.2%で5位、ASUSTekが7.5%で6位につけてる。台湾メーカー大躍進!

 うーむ。どうする日本メーカー! Let's noteというモバイルノートで有名なパナソニックがいうには、ミニノートは彼らの作っている高性能なモバイルノートパソコンとは競合しないから、安価なミニノートなんか作りませんだって。

 え〜っ、大丈夫かそんなことで? そういうのを、のれんにあぐらをかいてるていうんじゃないの? 現に、最近の調査では、パナソニックのお高い製品、けっこう売れ残ってるらしいぜ。まあ、それでもミニノートを作りたくないっていうなら、しょうがないけど……

 その点、東芝とNECは、バリバリ危機感を持ったらしく、あわててミニノートを作って売り出した。でも、台湾メーカーより高い値付けで売り出しちゃったもんだから、市場にそっぽ向かれて、こんどは大慌てで値段を下げ。最近になってやっと、台湾メーカーと値段で勝負できるようになってきた。ふう。ちょっと安心。

 で、ですね、長々と説明してきた果てに、なにがいいたいかというと……最初の呪文に戻って、ミニノートほしいよね、と(苦笑)。

 だってさ、だってさ、パナソニックのLet's noteなんて、20万円とかするけど、ミニノートは、5〜6万円なんだよね。それにオフィスソフト足して、外付けCDドライブも足して、なんて贅沢なことやってると、すぐ10万円とかになっちゃうから注意が必要だけど、わかってる人が、わかってる使い方をする分には、とっても魅力的な価格だ。

 ぼくは、わかってる人のつもりだから、ミニノートがほしい〜。

 えーっ、そんなものほしくないって? じゃあ、これまた最近話題のポメラはどうですか。なに? ポメラを知らない? あら、奥さんったら、意外と流行に疎いわね。おほほ。

 えーと、ポメラというのは、ポケット・メモ・ライターの略なんだそうで、折りたたみ式のキーボードにモノクロ液晶をつけた、テキスト入力しかできない機械です。作ったのはテプラで有名なキングジム。むかーしむかし、NECがモバイルギアというモバイル機器をだしてたけど、アレを覚えていらっしゃる方なら、ポメラは琴線に触れるかも。

 ぼくはですね、モバイルギアを覚えているどころか、買って使ってたんですねえ。だからポメラは琴線に触れまくり〜。ポメラの定価は、27,300円だそうで、仮に定価で買っても、流行のミニノートより安いジャン!

 きゃーっ! ポメラちゃん、ほしいかも〜。

 ポメラの開発者は、キングジムの立石さんという方で、この人がインタビュー受けてて、それを読んだら、益々ほしくなっちゃった。

 立石さんは、とにかく「テキスト専用機」を作りたかったそうだ。それに通信機能を付けろとか、LANに繋がるようにしろとか、社内からいろいろ雑音ならぬ要望が寄せられたそうだけど、それらをすべてはねのけて、テキストしか入力できない機械を作り上げた。それには、ちゃんとポリシーがあったんだって。

 立石さんがいうには、ちょっとしたアイデアを書き連ねるとき、「鉛筆で書いていると思考が止まってしまう」そうだ。なぜなら、漢字を忘れたり、字が汚いことを気にしてしまったり、文章を書くこと以外に気を遣うからなんだって!

 これには、グッときた。だって、ぼくもそうだから! 漢字は忘れてるし、字は汚いしで、もう大変。外でなにかの書類にペンで書かなきゃいけないとき、一度ケータイで変換しないと漢字を思い出せない始末。情けない(涙)。

 さらに立石さんは続ける。「本当に料理する人は包丁を使いますし、本格的に写真を撮りたい人は一眼レフを使います」と。要するに、文章だけを本格的に書きたい人であれば、テキスト入力専門機を使うはず。というコンセプトなんだってさ。

 はーっ、さすが。おっしゃるとおりかも〜。

 これでもう、ポメラちゃんご購入決定! といいたいところだけど、そういうわけにもいかない事情があるのだ。なぜなら……

 カメラもほしい〜。

 ああ、なんか最近は物欲の固まりですな。それもこれも、どこぞのガマガエル……失礼。首相が解散総選挙しないから悪いんだ。そうだ。そういうことにしておこう。

 で、カメラがほしいのであーる。

 あのね、あのね、キャノンのね、パワーショットG10というのがほしいの。G9まではレンズが広角じゃなかったんだけどね、こんどのG10は広角レンズになったの。それだけでも、かなりイケてるけど、もっと難しいこといっちゃうと、RAWデータが専用ソフトでなくても現像できるようになったの。なんかぁ、あたしぃ、ちょーうれしいって感じ。

 あいたた。ギャル風の文体は、書いてるだけで頭が痛くなりますな(苦笑)。最近は、二十歳を過ぎてもギャル風の女の子が多いようにお見受けしますが、みんな選挙に行こうね!

 あ、ちなみに、G10は、コンパクトカメラの割に、重くてデカイです。ぼくみたいなマニアックなのが好きな人向けだね。もし、知り合いに、いま買うならどんなデジカメがいい? なんて相談されても、絶対に勧めません。

 しかーし! ぼくはマニアなのだ。いや、ちがう。プロなのだ。だからコンパクトカメラもプロっぽいのがいいのだ。

 あ〜、カメラがほしい。マジでほしい。ポメラとカメラは名前が似てるけど、ぜんぜん違うな。うーむ。まずはカメラだな。うん、そうしよう。決めた。

 という結論を、彼女に申告したところ、じゃあ、カメラのテストをかねて、鎌倉にデートに行きましょう! だって。

 やはり、彼女の唱える呪文の方が強力だと思う今日この頃でありました。ギャフン。


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