誰がためにiPhoneは鳴る


 iPhoneが発売されましたねえ。欲しいな……と、ポツリとつぶやいている人は、きっと日本中にたくさんいると思う。

 じつは、ぼくもその一人なんだよね。でも、iPhoneは、いわゆるスマートフォンでしょ。ウィキペディアによると、スマートフォンは「カスタマイズ可能なPDA機能が付いた高機能携帯電話」だと書いてある。高機能で美しいデザインの携帯電話は欲しいんだけど、自分に、カスタマイズ可能なPDAが必要かどうかと考えると微妙なんだよなあ〜。

 意外に思われるかも知れないけど、ぼくは「手帳」派なんだ。いままで、何度かPDAには挑戦してみたんだけど、どうも、なじめない。スケジュールの管理は「紙」が一番だよ。

 なぜ紙なのか?

 と、われながら自問してみると、書くことで記憶に残るというのも重要なんだけど、やっぱり紙の手帳は一覧性が高いんだよね。でも、紙の手帳なら、なんでもいいわけじゃない。それこそ、紙の手帳は千差万別だから、自分の要求を完ぺきに満たす製品を探すのは大変なんだ。でも、それを探すのが、楽しかったりするんだよね。しかも、その手帳にあったペンを探すのが、また楽しい(笑)。

 とはいえ、ここ数年は、同じ製品で落ち着いている。それは高橋書店さんが販売している「No.113 ニューダイアリーアルファ 14」というヤツ。

 この手帳はいいよ。もしもあなたが紙の手帳を愛用していて、しかも、いまの手帳が使いにくいと感じているなら、来年の手帳を探すとき、ぜひ一度手にとって見てください。べつに高橋書店さんからお金をもらっているわけじゃないけど(それどころか、知り合いもいません(笑))、大いに宣伝しちゃう。マジで、この手帳は使いやすい(とかいいながら、何年も使っていると、そろそろべつのにしようかなと、思わなくもない)。

 失礼。話を戻そう。

 問題のiPhoneは、いろんなところでレビューされている。iPhoneについて書かれたブログを読んでたら切りがないので、プロのライターが書いているレビューに限定して読んでみて(それでも、たくさんある)、iPhoneを「買う」ための言い訳はないものかと探したんだけど、やっぱりiPhoneはスマートフォンであって、ケータイ電話として考えちゃいけないらしい。

 いやホントに。ほとんどのレビューが(プロの書いた記事しか読んでないけど)、iPhoneのスマートフォンとしての機能を褒めてはいても、ケータイ電話としての機能は褒めてない。というか、むしろケータイ電話として購入すると、失望するとさえ書いてあるレビューもあった。

 うーむ、うーむ。買うための言い訳を探すどころか、買ってはいけない理由ばかり見つかってしまうではないか。

 あ、いや、念のために申し上げておくと、ここで言う「買ってはいけない理由」は、ぼくにとっての理由だからね。もしあなたが、営業マンで、使いやすいスマートフォンを探しているなんて場合は、もうバッチリiPhoneを買うべき理由があるのだ。

 ところで話はちょっと変わるけど、iPhoneに関する記事を読んでいて、一つ気になったことがある。

 SoftBankは、iPhoneの契約開始時間を、7月11日の午後12時に設定して、事実その時間から販売を開始したわけなんだけど、表参道にあるSoftBankショップだけは、午前7時から販売を開始したのだそうだ。

 これはどう考えても、iPhoneが欲しくて欲しくてたまらない人たちの心理を利用して、表参道のショップに並ばせ、それをマスコミに取材させることで、話題作りをしたとしか考えられない。

 あこぎだよなあ。ぼくもお祭り騒ぎは嫌いじゃないけどさ。ユーザーを集めて、感謝祭を開くとか、そういう意味のお祭りや話題作りは大いにけっこうだと思うよ。でも今回、SoftBankの孫さんがやったことは、ただ「並ばせた」だけだぜ。それって、ひどくない?

 ぼくは召しませMoney!のケータイアプリをチェックするために、SoftBankの端末を一つ持っていて(もちろん電話番号も)、その端末を買うときにSoftBankについて調べた結果、孫さんのこと、好きになりかけてたんだけどなあ。こういう、あこぎなことされると(べつに自分が並んだわけじゃないけど)、ちょっと嫌いになっちゃうな、孫さんのこと。

 あとね、文句ついでに書いておくと、アップルコンピュータもひどいよ。iPhone日本で販売されるのに会わせて、そのiPhoneを活用するためのソフトである、iTunesも新しいバージョンになった。ぼくはiPhoneを持ってないから、バージョンアップの必要はないのだけど、アップルの「Apple Software Update」という自動プログラムが、アップデートしろというから、言われるまま、インストールボタンを押した。そしたら……

 ううう(泣いてます)……ひどいんだよ。新しいiTunesにバグがあって、iTunesを起動していると、AppleMobileDeviceHelperとかいうソフトだかなんだか知らないけど、そいつが動作を停止したという意味のことが書いてあるダイアログが、ずーっと、何枚も何枚も、出続けるんだ。いくら消しても、ずっとずっと、出続ける。いやだあ〜、これじゃあiTunes使えないよ〜、iPhoneなんか持ってないのに、iPodが使えなくなっちゃうなんて、ひどすぎる〜。

 いえ、ソフトウエアにバグはつきものだから、そのことでアップルを責めはしないけど、バグが出たあと、いかに素早くリカバリーするかが問われるわけですよ。なのに、アップルのサイトには、そういう問題が発生していることすら告知されてません。どうやら、WindowsVistaで、ATOK使っている人に限って、そのバグが出るようなんだよね。そういうマイノリティーは知っちゃこったないと、アップルに思われているようで、悲しいよ〜。

 まあ、でもそこはそれ、ネット社会のすばらしさ。アップルがなにもしてくれなくても、対処方法を見つけられる頭のいい人が必ずいて、そう言う人からの情報が、すぐに検索できるから、ぼくもなんとか、対処療法で事なきを得ております。

 さて。今回はSoftBankとアップルコンピュータの文句を言うためのエッセイになっちゃったけど(そういうのは、そもそもエッセイと言わない?)、ぼくはいま、ケータイ電話業界に注目していて、いろいろ調べていると、SoftBankだけじゃなく、au(KDDI)もdocomoも、けっこう、あこぎなんだよね。しかも政策が支離滅裂だったりして笑える。だからこそ、SoftBankのこと好きになりかけてたのに、残念だわ〜。ということなのでした。

 あ、そうそう。このエッセイのタイトルは、ヘミングウエイの長編小説「誰がために鐘は鳴る」をもじったモノです。みなさん、お気づきだろうけど、老婆心ながら、念のため。



≫ Back


Copyright © TERU All Rights Reserved.