新しいプリンタ



 1月13日の金曜日、朝日新聞の一面に――さすがにトップ記事ではないが――ニコンがフィルム式カメラの製造を、ほとんどやめるという記事が載った。キリスト教の伝承では、あんまりうれしくない数字と曜日の組み合わせだけど、ニコンのフィルムカメラをいまも愛用してる人にとっても、うれしくない日になっただろう。

 ニコンは、最高級機のF6と、一番廉価なFM10を除いて、その他のフィルム式一眼レフをもう製造しないんだそうだ。製造を続ける機種も、新規開発はやめる。さらに、大判用レンズ(蛇腹式の大きなカメラに付けるレンズだよ)も、製造をやめて、引き延ばし機用のレンズも、今後は作らない。

 これも時代の趨勢ですか。ぼくはいま、ニコンのユーザーではないけど、なんとなく寂しい感じだよねえ。キヤノンもそのうちフィルムカメラはやめるんだろうな。

 と、寂しがっている割りには、ぼく自身フィルムを使わなくなって久しい。仕事でもデジタルが当たり前。プライベートも、デジタルオンリーだ。みんなもそうじゃない? フィルムは使わないでしょ。DPEショップ(写真屋さん)も困ってるだろうね。デジタルになって、写真を撮る機会は増えているのに、プリントに出す枚数は減っているんだから。

 いや、逆にプリントの枚数も増えているという統計もあるみたいだけど、それにしては、写真屋さんの経営は苦しそうだよ。プリントの枚数が増えているという統計が事実を語っているのだとしたら、なぜ写真屋さんが困っているのだろう?

 その原因は、きれいな写真が印刷できる家庭用プリンタにちがいない!

 というわけで、やや強引な前ふりだけど、ぼくも今年に入ってからプリンタを買ったのだ。なーんて言うと、フォトグラファーは、さぞかし写真がきれいに印刷できるプリンタを買ったんだろうなと思われそうだけど、そうじゃないんだ。ぼくが買ったのは、キヤノンのiP 4200という、廉価なモデル。安いところでは、1万6千円ぐらいで買える。ぼくは1万5千8百円で購入した。

 え? なんで写真用のプリンタじゃないんだって? しかも安すぎですか?

 いや聞いてくださいよ奥さん。写真家だって……あ、すいません。ちょっと話がそれるけど、今年からぼく、自分を「カメラマン」と呼ぶのやめます。自称(苦笑)写真家、あるいはフォトグラファーと呼ばせていただきたい!

 だってぇ〜、カメラマンって呼ぶと安っぽくありません? 師匠(20年ほど前に、4年間アシスタントとして師事した写真家)に、ずいぶん前から、自分をカメラマンなんて呼ぶなバカタレ! と怒られてたし、そろそろ年齢的にも、写真家と自称していいかななんて……

 でもねえ、いままで「カメラマンのTERUです」なんて言ってたのが、急に「写真家です」というのも照れくさいんで、リアルワールドでは、単に「TERUです」と、名前だけ名乗ることにしました。そうだよ、男も40才を過ぎたら、名前だけで勝負だ!

 と、それはともかく。わたくし写真家としてはですね、すごーくきれいな写真が印刷できるプリンタは、現在のところエプソンのMAXART PX-5500(と、その上位機種のいくつか)しか選択肢はないと思うんですよ。いやあ、いいですよMAXART PX-5500。じっさいに自分の写真でテストさせてもらったんだけど、すごく美しい。さらにベルベットファインアートペーパーという高価な紙まで使わせてもらったんだけど、ここまで来ると、マジで業務用プリンタですな。大量印刷に向いたという意味の「業務用」じゃなくて、写真家が作品作りに使えるプリンタという意味で。ファインアートを制作するなら、エプソンのMAXART PX-5500で決まりでしょう!

 けどね……

 ここで話は最初に戻りまして、聞いてくださいよ奥さん。写真家だって、いつもファインアート作ってるわけじゃないんですよ。請求書だって印刷するし、ウエブページだって印刷するし、メールで送られてきた添付資料(エクセルの表だとか、プレゼンテーションのファイルだとか、PDFだとか)を印刷だってするし、友人や知人と遊びに行ったときのスナップ写真だってプリントするんですよ。

 そういうの、みんなエプソンのMAXART PX-5500でやる?

 やらないよ。MAXART PX-5500は、たしかに美しい写真が出力できるけど、スピード遅いし、A3プリンタだからでかいし。じつはむかしさあ、エプソンのA3プリンタ持ってたんだけど、ほとんど使わなくって、場所ばっかりとって邪魔だったから売っちゃったんだよね。でもMAXART PX-5500は欲しいと思わせる品質がある。だから、こいつはそのうち買ってしまう予感があるけど、とりあえず、いま欲しいのは、請求書とかウエブページとか――以下同文――を印刷するための事務用プリンタなんだよね。

 というわけで、キヤノンの、iP 4200に白羽の矢が立った。

 それまでぼくは事務用途として、ヒューレットパッカードの、HP deskjet 895Cxiというのを使っていた。これ6年ほど前に買ったんだけど、それからぼくは、すっかりヒューレットパッカードのファンになっちゃった。だって、プリントのスピードがめちゃ速かったんだもん。じっさいインクジェットプリンタの中では当時最速だったと思う。エプソンから乗り換えたとき(当時のエプソンは、ホントに遅かった)、マジで感激。しかも黒インクがカーボン(顔料系)だから、黒い文字は、まるでレーザープリンタのようにシャープで美しかった。じつは、OKIのレーザープリンタ持ってたんだけど、必要なくなって売ってしまったくらいなんだよ。

 さらに、こいつが壊れないんだ(笑)。インクジェットプリンタの泣きどころはヘッドの目詰まりだけど、deskjet 895Cxiは、インクタンクとヘッドが一体型だから、インクを変えるとヘッドも新品になっちゃう。ヘッドの目詰まりなんか一度もなかった(ヘッドがついてる分、交換用インクタンクの値段が高いけど)。ぼくは、月に50枚くらいしかプリントしないから、使用頻度は高くない。それでも駆動系も故障知らずで6年間も平気で動いてるんだから、丈夫なプリンタだよ。

 それが今年になって、ついに壊れたのか!

 いえ、壊れてません。いまも元気です。元気ですとも。バリバリ動いてますよ。去年の年末だって、ヒューレットパッカードで、何百枚もプリントした。

 でもぉ……最近の機種に比べるとねえ、もう速くないし、写真の印刷はきれいじゃないし、フチなし印刷できないし、CDラベル印刷もできないし、なんかその……ぼくって時代に取り残されてる? みたいな、そこはかとない強迫観念が芽生えてきちゃったんですな。2006年になって。

 そういえば、むかしむかし、13年使ったマニュアルフォーカスのカメラを、オートフォーカスに切り換えたとき、カメラの進歩に目からうろこが落ちたことがあって、気がついたら、仕事には使えないだろなんて半信半疑だったオートフォーカスカメラ信者になってしまったことがあったな。オートフォーカスじゃないカメラ使ってるなんて、原始人だよ、きみい。みたいな。つい昨日まで自分が原始人だったくせに(笑)。

 そうだよ! プリンタだって、6年も前の機種を使ってるなんて原始人だよ。今年からぼくは新人類になっていきたい! カメラマンとは呼ばないでいただきたい! いや、それとこれとは話が別ですが。

 と、そのような機運が自分の中で勝手に盛り上がり、財布にお金を入れて電気屋さんに行ったのでした。

 が……

 なんかプリンタって、いっぱいあるのね……どれ買ったらいいの? ねえ、どれがいいのさ? コピーもとれる複合機ってヤツがいいの? でもフラットベッドスキャナ持ってるから、コピー機能なんていらなくない? デジカメのメモリカードを直接差せる? でもぉ、写真はPCから印刷するしぃ……けっきょくどれがいいのさ!

 わかんなーい!

 だから、いったん撤退して、現在のプリンタ事情というのを、ネットで調べてみた。すると、キヤノンのプリンタがスピード速そうでいい感じ。しかも、ヒューレットパッカードで便利だった、用紙の前面給紙ができるじゃんか。エプソンは、いまでも遅いのね。いや、ずいぶん速くはなってるけど、キヤノンに比べると遅いみたい。用紙の前面給紙ができる機種もないみたい。

 よし、キヤノンにするぞ! 使ってるカメラもキヤノンだし、今年はみんなキヤノンにするのだ。そうするのだ。もう止まらないのだ!

 で、また電気屋さんへ。

 狙いは7色印刷のiP 7500と、5色印刷のiP 4200。複合機ではない単機能機だ。フィルムもスキャンできるフラットベッドスキャナ持ってるから、けっきょく単機能機で充分と判断したのだ。ちなみに、単機能機には、もっと上位の、iP 8600というのもあるけど、iP 8600は黒インクが顔料じゃないから除外する。

 あ、ちょっと説明しようか。インクジェットプリンタが使うインクには、大きく分けて顔料と水性があるんだ。顔料はにじみが少なく、耐水性や長期保存時の耐久性(時間が経っても色が薄くならない)に強いとされている。水性はにじみやすく、耐久性も低いけど、その代わり、乾きが速くて、あざやかな色再現が可能……

 というのが、一般的な説明のようだね。もっとも、水性インクだって、インクの改良と紙の改良を合わせて、アルバム保存なら100年保存しても大丈夫なんてメーカーは言ってるし、顔料インクも改良が進んで、あざやかな色が出せるようになった。

 要するに、一般の人がふつうに使う分には、顔料インクか水性インクかを気にする必要はないと思う。プロの写真家が、ファインアートを制作するなら、顔料を選ぶだろうけどね。

 ここでぼくが問題にしているのは、写真じゃなくて「文字」なんだ。欲しいのは事務用のプリンタだからね。書類には文字が多いだろ? 文字に関しては、だんぜん顔料インクがいいね。水性の黒インクは、写真用に向いているけど、普通紙(メーカー純正じゃなくて、どこでも売ってるコピー用紙)に印刷すると、どうしてもにじみが出るし、黒純度が低いので薄く見える。だから水性の黒インクしか持たない機種は、メーカーを問わず、最初からパスなんだ。ぼくの評価基準では。

 さて、iP 7500とiP 4200。この2機種、使うインクが7色と5色のちがいと、スピードのちがい、そして見た目の高級感がちがうけど、それにしても値段がちがいすぎる。iP 7500は、2万7千円ぐらいするのに、iP 4200は、1万6千円。1万円も安い! 比率でいえば4割も安い。それだけのちがいを納得できる差があるんだろうか?

 よし。数字としてキヤノンが発表しているちがいを書き出してみようか。

A4フチあり印刷 L判フチなし
iP 7500 1分18秒/52円 39秒/14円
iP 4200 1分40秒/31円 42秒/8円


 どうだろう。上の表は、印刷時間とインクコスト。iP 4200は、A4フチあり印刷で、iP 7500より22%遅いけど、インクコストは40%安い。これがL判フチなしだと、7%遅いだけで、インクコストは43%も安いではないか!

 うーむ。悩ましい。スピードを取るかインクコストを取るか……待て待て、その前に印刷品質が問題ではないか。5色と7色では、明らかな差があるかもしれない。こればっかりは、サンプルを見てみなきゃわからないので、お店でじっくり鑑賞してきました。幸い、ぼくが行ったお店には、まったく同じデータを印刷したサンプルが置いてあった。これなら比べられる。

 結果は?

 え〜っ、5色でも充分じゃないのぉ? たしかに7色の方が、グラデーションが少し豊かに感じるけど、比べてみなきゃわからないくらいの僅差。この程度なら、1万円安い方がよくない? しかも5色の方が、ランニングコストだって安いんだぜ。

 うん。安い方がいいよ。お兄さーん! iP 4200一個ちょうだい! はい、お買い上げ〜。わーい、新しいプリンタだ。うれしいな。うっ、箱がけっこう重いじゃんか……

 そんなわけで、重い箱持って自宅(兼事務所)に戻り、ウキウキしながら、ヒューレットパッカードを片づけて(6年間お疲れさま!)、iP 4200をラックに設置してみると……なんか、微妙にデカイ。お店で見ているときはそんなに大きさを感じなかったのに。って、お店と自宅ではスケール感がちがって当たり前か。

 しかし、それにしても、なーんかデカイぞ。 横幅はそうでもないんだが、この手のプリンタにしては、奥行きが長いような気がする。その理由は、のちに判明(したような気になった)ので、あとで書くとして、まずはプリントしてみよう!

 おっと、その前に。

 パソコンからプリンタを動かすためには、ドライバと呼ばれるプログラムをインストールしなければならないのだ。なんで、そんなめんどくさいことになってるのか知らないけど、とにかくそうなのだ。だから、プリンタの説明書に書かれたとおりの手順で、インストール作業をやるのだ。

 そうなんだよねえ。ドライバのインストールって、なぜか「手順」があるんだよね。ケーブルを繋げるだけじゃダメなのよね。CDをパソコンに入れて、なんか指示が出るまで、プリンタの電源は入れちゃいけないとかさ。そんなの無視しても、わかってる人ならインストールはできるんだけろうけど、無視しない方が、ふつうは幸せなのだ。ぼくはふつうの人なので、もちろん無視せず、説明書に書いてあるとおりにインストール。

 さあ、ドライバも入った。ついでと言っちゃなんだけど、そのほかにも、いろいろソフトウェアが入った。どうやら、簡単にプリントするためのソフトらしいが、そちらはあとで検証するとして、まずはいつも使っている表計算ソフト(OpenOffice.orgを使ってます)から、書類を印刷してみた。

 速い!

 プリンタの設定は、「普通紙」「標準」で印刷してみたんだけど、ヒューレットパッカードよりも、ダントツ速い。すごーい。さっきも書いたけど、6年前のヒューレットパッカードだって、買った当時は、その速さに感激したんだよ。時の流れというか、技術の進歩を感じさせますなあ。キヤノン買ってよかったなあと、しみじみ思ったりして。いまのヒューレットパッカードは、キヤノンより速いのかもしれないけど、そうだとしても、ぼくには教えないでほしい(苦笑)。

 ただ、ヒューレットパッカードでデフォルトにしていた、逆順印刷がすぐに見つけられなかったのには、ちょっと焦った。逆順印刷とは、複数ページの書類を印刷するとき、最後のページから印刷する機能。こうしておくと、印刷された書類は、最後のページから排紙トレイに重なっていくので、印刷が終わってから重ね直さなくていい。

 ま、まさか、キヤノンにはこんな便利な機能がないのか! って焦ったんだけど、よく探したらちゃんとあった。ホッとした(笑)。いやまあ、考えてみれば、逆順印刷ができないプリンタなんてあり得ないよね。ちなみにキヤノンの場合、逆順印刷ではなく「最後のページから印刷」という表現でした。こっちの方がわかりやすいかもね。

 つぎに、Photoshopを使って、スーパーフォトペーパーなる写真用の紙で、写真を印刷してみた。A4サイズのフチあり印刷。印刷品質は一番きれいなモードにしてみる。

 速い!

 これまた速さにビックリなんだけど、印刷の美しさにもビックリ。すごいーっ。これなら、7色とか8色とかいらないじゃん! って、お店のサンプルプリント見て、そう判断したからこの機種を買ったんだけど、じっさい自分の写真でその成果を見ると、感激の度合いがちがいますな。そりゃまあ、写真家の目で重箱の隅をつつくように見れば、シャドーからハイライトに向かう間のグラデーションが足りないとは思う。その結果、コントラストが強くなってしまうのが残念といえば残念。おそらく上位機種の、iP 7500なら、この辺が美しいのだろう。

 でも、このプリンタはファインアート用ではなくて、一般家庭用、あるいは小規模オフィスの事務用途に向いた実用プリンタだよ。その性格を考えれば、写真印刷のクォリティは立派としかいいようがない。ホントにすばらしい。文句なし。

 うれしいことに、色味も、だいたいモニタに表示された色に近い。やや専門的な話だけど、ぼくはモニタ用のキャリブレーション機器を使用して、モニタの色合わせをしている。でも、さすがにプリンタのプロファイルを作れるキャリブレターまでは持っていなくて(だって安いところで買っても20万円以上するんだもん)、モニタの色に近い印刷ができるとは期待していなかった。けど、じっさいプリントしてみると、おおむね許せる範囲。もちろん、色見本としてクライアントに提出できるわけじゃないけど、何度も言うように、このプリンタは写真印刷専用ではないのだ。書類が高速かつ安価に印刷できて、写真も、かなりきれいに印刷できる万能選手。

 ただし、ドライバの項目を見ると、ドライバによる色補正を切って、ICCプロファイルを適用できるようだ。1万6千円程度で購入できる5色インクのプリンタに、正確な色再現性を求める人もいないだろうけど、その気になれば、モニタとプリンタを色合わせして(さっきも書いたけど、高価なキャリブレーション機器とソフトウェアが必要なのだ)、モニタに表示された色に近いプリントが出力できるようになると思われる。そこまでやれば、「色見本」として提出するのも不可能ではないかもしれない。いや、ホントに1万6千円のプリンタに、そこまで求める人は少ないと思うけどね(笑)。

 あと、ドライバを見ていると、写真を絵画調に変えたり、デジカメのノイズを低減したりする機能もあるみたいだ。この辺は、お遊びの機能だね。ぼくには必要ないので試していない。以上、テスト印刷終了。

 ってことはですよ、この時点ですでに新しいプリンタを購入した目的というか期待は満たされたわけで、あとはプリンタの電源切ってフタ閉めて終わり……に、すりゃあいいものを、がぜん、あれもこれもプリントしてみたーい病が発病して、インクと紙を無駄に浪費して、地球環境を破壊するのだ! という悪の心が芽生えてしまったのだ!

 だから、まだまだプリントする。するったらするぅ!

 あのね、あのね、聞いてよみんな! キヤノンさんてばね、紙を前面のカセットに入れておけるだけじゃなくてね、後ろ側にも紙を入れられるんだよ。それを本体のスイッチか、ドライバで使い分けられるんだ。つまり、いつも使う普通紙はカセットに入れておいて、たまに使う写真用紙や葉書なんかは、そのときだけ後ろから入れられるんだよ。すごく便利だと思いません? ぼくは思うよ。思うんだもん、いいんじゃん。いや、本当に便利だってば。キヤノンはこの方式を、2ウエイ給紙と呼んでいる。ヒューレットパッカードで不満だったのは、封筒なども前面から給紙しなきゃいけないので、そういう厚手の紙は、たまにシワになることがあったんだけど、キヤノンにその問題はない。

 ただね、なーんか最初から気に食わないことがあるんですよ。ドライバをインストールしたとき、一緒に入ったソフトウェアにですね、イージー・ウエブプリントというソフトがあって、こいつがですね、IE(ブラウザですな)のアドレスバーの下に、ペコッと貼りついて、邪魔ったらありゃしない。なんじゃこいつ。おまえは何者だ!

 そんなわけで、IEでイージー・ウエブプリントを起動して印刷してみた。すると、気に食わないどころか、IEの表示領域を狭くする邪魔な存在なのに、その存在を許してしまいたくなるほど、いや積極的に許そうと決意するほど便利なソフトウェアであったのだ!

 説明しよう諸君!

 吾輩と同じく、最近のキヤノンプリンタを使っている諸君はともかく、そうでない諸君は、ウエブをプリントするとき、横幅がA4に収まり切らずに、悔しい思いをしたことはないか? ぼくはある。まあ、たいていの場合、A4に収まらない右側の部分は、どーでもいい広告が入っていたりすることが多いので、それほど悔しくもないんだが、なーんかこう、画竜点睛に欠けるというか、美しくプリントできないなあとは思うわけだ。

 しかーし!

 キヤノンのプリンタに付属の、イージー・ウエブプリントを使えば、自動的にA4に収まるように、ウエブページを縮小して印刷してくれるのだ。まさに全自動。ユーザーは、なにもする必要はない。IEの印刷機能ではなく、イージー・ウエブプリントを起動させる(しかもボタンを一個押す)だけなんだぜ。らくちーん。

 この機能(ソフト)は、キヤノン独自のものなんだろうか? エプソンにはないのだろうか? だとしたら、キヤノンを選んで大正解だったかも! どっちにしても、いまキヤノンユーザーとして、イージー・ウエブプリントを使えるんだから、大正解なのだ。この機能で人類が幸せになるわけではないが、ぼくは幸せになったのだ。

 ただし、イージー・ウエブプリントは、Firefoxには対応していない。これはちょっと不幸かしらん? いやいや、大丈夫。Firefoxは、自前で用紙に合わせて縮小する機能があるから、Firefoxユーザーは、そもそもキヤノンのイージー・ウエブプリントなんぞ使わないのだ(苦笑)。

 いやあ、それにしてもイージー・ウエブプリントはいいよ。このプリンタを買うとき、付属ソフトのことまで考慮していなかったので、期待してなかった映画が、意外とおもしろかったような喜びがあるんだけど、喜びはまだ終わらなかった。イージー・ウエブプリントの表示に「両面」という、なんか微妙に気になる表記があるではないか。

 まさか、このプリンタって、両面印刷ができるのか? と、半信半疑で、その「両面」ってところにチェックマーク入れて印刷してみたら……

 まず片面を印刷し終わったところで、紙がすべて排出されず(8割ぐらい出たところで)プリンタが停止。そのあと停止したまま、なにごとか考えていらっしゃる様子。そんなに長いこと考えているわけじゃないんだけど、「もしもし、どうかなさいました?」と、思わず声をかけたくなるような間ではある。例えていうなら、蒸し暑い夏の夜に、柳の木の下で女性がうずくまっていて、「どうしたんだい、お嬢さん」と、声をかけると、その女性が振り返り、顔がのっぺらぼうだった! 

 ぎゃーっ!

 じゃなくて。考え終わったキヤノンさんってば、8割ほどベロンと出ていた紙を、ずずずーっと、プリンタの中に引き戻して、裏面の印刷を始めるではないか!

 わーっ! な、な、なんで、あんた裏面を印刷できるんだーっ!

 マジで自動両面印刷ユニットが内蔵されてるなんて知らなかったから、一瞬、その構造がわからなかったけど、考えてみれば、中のローラーの上下を入れ換えて紙を通せばいいだけのことなので、機構的に(コスト的にも)難しいことではなさそうだ。つまり、故障の原因になりそうなほど、複雑なことはやっていないと推察される。たぶんね。説明書に構造を解説したページはないので、本当に推察だけど。なんにせよ、このプリンタが、妙に奥行きが長い理由がわかった。自動両面ユニットが内蔵されていたからなんだね。

 というわけで、購入時には、その存在すら知らなかったウエブページの自動縮小機能と、自動両面印刷には、ちょっと感動した。頻繁に使う機能ではないだろうけど(とくに両面印刷は)、こういうのってさ、たまーに必要なときがあって、そのとき「ありがたや〜」と思ったりしちゃうんだよね。余談ですが、キヤノンさんは両面印刷用に、厚手の紙を純正紙として用意していらっしゃる。商売に抜かりがないですなあ、キヤノンさん。思わず250枚入りを、一束買っちゃったよ(苦笑)。

 さて、つぎに試したのは、やはりドライバと一緒にインストールされる、イージー・フォトプリントだ。なんでも「イージー」なのね、キヤノンさん。ステキ♪

 このソフトを説明すると、名前のとおり、簡単に写真をプリントできるソフトだ。使い方は、本当に簡単。ソフトを起動したら、まず写真が入っているフォルダを開く。この「フォルダを選ぶ」というのがいい。ほかのプリンタメーカーの類似ソフトがどうなってるのか知らないが、写真を整理するソフトって、まず整理する写真を「登録」する作業を要求するものがあるんだ。そうしておくと、保存してあるフォルダーに関係なく、すべての写真がカレンダー表示(要するに日付順に並ぶ)で一覧できたり、あるいはカテゴリー別に表示できるメリットはあるだろうけど、ぼくは自分で理解しやすいように、最初から写真をフォルダー分けしてあるので、ソフトに余計なことはしてほしくない。その意味で、キヤノンのイージー・フォトプリントは、余計なことはなにもせず、ただハードディスクの中の、フォルダを指定するだけだから、とってもわかりやすいんだ。

 さて、フォルダを指定する(開く)と、中に入っている写真がサムネイル表示される。表示できるのはJPEGだけみたい。まあ、一般的にはそれで問題なかろう。欲を言えば、せっかくキヤノンのソフトなんだから、キヤノン製カメラのRAWファイルぐらい扱えても良さそうなもんだが、それはカメラに付属しているデジタルフォトプロフェッショナルというソフト(キヤノンのホームページからもダウンロードできる)と連携して使えというスタンスらしい。これはちょっとイージーじゃないよキヤノンさん。

 ともかく、サムネイルを表示すると(表示は、なかなか高速だ)、そのサムネイルの下に、印刷枚数を指定する項目が現れる。フォルダに入ってる写真全部を、一枚ずつ印刷したいときは、ボタン一発で指定できる。全部印刷したくない場合は、一枚ずつ枚数を指定していく。

 それが終わると、今度は紙の選択だ。サイズと種類を選ぶ項目に進む。たとえばL判で、スーパーフォトペーパーで印刷しますよという指示をソフトに与えるわけ。

 最後にレイアウト。フチなしで印刷するのか、フチありで印刷するのか、それともインデックスプリントを出したいのかなどなど……こうして書くと煩雑そうに感じるかもしれないけど、実際は、とても見やすい表示だし、やるべきことも簡単明確なので、だれもが迷うことなく印刷の指定を進めて行けると思う。本当にイージーよ♪ ちなみに、赤目補正などの簡単なレタッチも行えるよ。

 さあ指定が終わった。印刷ボタンをポチッと押す!

 なんの問題もなく、L判のスナップ写真がフチなしで印刷できた。このときは20枚ほど印刷してみたので、さすがに少し待たされたが、まあ、このぐらいのスピードなら許容範囲。

 しかし、ぼくはあることに気づいた。Photoshopで印刷したときと色がちがうのだ。言うまでもなく、モニタで見る色ともちがう。彩度が上がっているように見えるんだ。要するに「あざやか」になっている。どうやら、色を自動で補正しているようだよ。女性を撮った写真は、顔に赤みが増して健康的な肌色になる感じだけど、風景や商品を撮影したモノは、なんだか色が全体的に赤っぽくなっちゃって、あまり好ましく思えない。調べてみたら、自動色補正はOFFにできるみたいなんだけど……

 たぶん、このソフトは、お父さんやお母さんが、子供のスナップ写真を、きれいに印刷できるようにチューニングしてあると思われる。彼氏が彼女の写真を印刷するのにも適しているだろう。ぶっちゃけた話し、「記念写真用」なんだと思う。このソフトの性格というか、存在意義を考えれば、上記の色が「あざやか」になるのは、むしろ好ましい。だから、自動色補正は切らなくてもいいんじゃないかと思うんだ。もちろん、OFFにできる設定があるのはすばらしいことだね。用途(被写体)によっては切ればいい。

 ここで写真用の紙を変えてみよう。キヤノンの純正写真用紙には、プロフェッショナルフォトペーパーという「最高にナイスな写真用紙」と、ちょっと値段が安い、スーパーフォトペーパーというのがある。もっと安い、ただの光沢紙もあるけど、こいつは裏面がいかにも「紙」って感じなので、写真用としては、いささか安っぽく感じる。

 具体的には、プロフォトペーパーが、A4の50枚入りで買うと、1枚70円ぐらいで、スーパーフォトペーパーは、やはり50枚入りで買うと、1枚42円ぐらい。光沢紙は100枚入りで買って、1枚25円というところが量販店の相場みたいだね。

 さっきも書いたとおり、光沢紙は紙っぽいけど、スーパーフォトペーパーになると、いかにもRCペーパー(コートされた印画紙)風味で、ぐっと写真らしくなる。一番お高いプロフォトペーパーともなれば、多層コートでさらに高級感アップ……なんだけど、なんか裏面がベタベタしてる。なんで? パッケージの説明を見ても「バックコート」と書いてあるだけで、その正体は不明。たぶん、長期保存のための保護剤じゃないかと思うけど、このベタベタ感は、あんまり好きじゃないなあ。それでも、最高にナイスな印刷ができるなら、使ってみたいと思うのが人情だ。

 で、プロフォトペーパーとスーパーフォトペーパーを使って、同じ写真を印刷してみたけど……

 うーん。プロフォトペーパーって必要ですか? スーパーフォトペーパーで充分じゃないですか? という程度の差しかなかった。表面の光沢感も、多層コートで金かかってる割りには、お安いスーパーフォトペーパーと、そんなに変わらないし。ぼくの評価基準で言うと、5色印刷のiP 4200で使用する分には、A4で1枚70円と42円の価格差を正当化できるだけの印刷品質の差はないと思う。念のために書いておくと、上位機種を使えばちがう結果が出るかもしれないし、長期保存の信頼性も、ぼくの評価基準には含まれていない。あくまでも、iP 4200で使ってみた短期的な印象です。

 そうだ! ここでひとつ残念なことが判明! キヤノンの純正プリンタ用紙の中には、ファインアートペーパーという、コットン100%の、地球環境破壊型の罰当たりな高級紙があるんだけど、このステキな用紙は、iP 4200では使えないのだ。上位機種のiP 7500以上でないと使えない。

 悔しい〜っ!

 なにが悔しいって、10枚入りで2千円ぐらいするファインアートペーパーを買ってきたあとで気がついたから。ただのバカ? ふん。いいんだいいんだ。無理やり印刷してやる。iP 4200は、ドライバでファインアートペーパーを選べないけど、iP 4200で選べる、一番高級な紙(プロフェッショナルフォトペーパー)を指定して印刷すると……印刷自体はできる。それも、けっこうきれいよ。キヤノンさんに怒られる使い方だね(苦笑)。正直に言うと、この時点で、iP 7500にしとけばよかったかなと、少し後悔した。でもまあ、このプリンタは事務用に買ったんだからと思い出して……いや自分に言い聞かせて納得した(笑)。

 気を取り直して、純正紙だけじゃなく、富士フィルムの「画彩・写真仕上げPro」というペーパーも使ってみた。画彩って、「かっさい」と読むんだって。どうしてこう、オヤジのダジャレみたいな商品名をつけるかなあ。と、名前はともかく、この紙は色が浅くなってしまって、iP 4200とは、相性がよろしくないようですよ。浅めの色にするのが、富士フィルムの考え方なのかもしれないけど、コニカミノルタの写真用インクジェットペーパーも似たような傾向だった。どーも色が薄い。いまのところ、純正紙が一番いいように感じるね。純正紙がよくなかったら困るけどさ(苦笑)。

 どうせだから、もうちょっと遊んでみよう。このプリンタで、モノクロ写真を印刷をしたら、どうなるだろうか。いまどきモノクロ写真? なんて思われるかもしれないけど、自分の写真をモノクロに変換してみると、意外な発見というか、楽しさがあるから、ぜひやってみて。最近のデジカメは、最初からモノクロで撮影できるモードもあるしね。おもしろいよ。

 とはいえ、カラーインクを使うインクジェットプリンタは、モノクロ印刷が不得意なんだよ。グレーの表現を、カラーインクの重ね合わせて作るので(原理的には、イエローとマゼンダ、そしてシアンのインクを均等に混ぜると灰色になる)、モノクロ写真とは言っても、じつはカラー印刷をしているのと変わらないんだ。だから、どうしても特定の色に「かぶり」が出てしまうし、うっすらと色むらも出る。ぼくが購入した過去のプリンタでは、照明環境にも左右されるとはいえ、エプソンはマゼンダ(ピンクっぽ色)にかぶるものが多く、ヒューレットパッカードは、シアン(青っぽい色)にかぶる傾向があるように思われる。

 色かぶりを防ぐには、エプソンのMAXART PX-5500のように、グレーインクを使うのが手っとり早い。カラーインクを使わなきゃ、原理的に「色かぶり」は起こらないわけだからね。じっさいPX-5500のモノクロ印刷は、とってもきれいだよ。エッセイのはじめの方で、、自分の写真でPX-5500を試してみたと書いたけど、このときモノクロ印刷してみたんだ。少し大げさだけど、鳥肌がたつような美しさだった。事実、PX-5500は、メーカー自身が明確に「モノクロが美しい」と宣伝している。このほかにモノクロが美しく印刷できるといわれているのは――プロユースの値段の高いプリンタは別として――ヒューレットパッカードの、Photosmart 8753ぐらいじゃないかしらん。

 しかし、いまぼくの目の前にあるのは、グレーインクを持たない(フォトブラックという水性インクは入っているが)、1万6千円のプリンタだ。こいつでモノクロがどこまで出せるだろうか? 興味津々……というか、ちょっと不安(苦笑)。

 ではやってみよう……おっと、その前に。

 カラー写真をモノクロに変換するのは、一般的にはフォトレタッチソフトでグレースケールに変換するか、あるいは「彩度」をゼロにしてあげればいい。でも、この方法だと、見た目は色が抜けるんだけど、なーんか眠たい調子になってしまって、本来モノクロ写真が持っている味わいは出ないんだ。カラー写真のモノクロ写真化は、けっこう難しいんだよ。あなたの持っているレタッチソフトに、トーンカーブという項目があるなら、ハイライトとシャドーを、ちょこっと切り詰めてみて。こうするだけで、わりと簡単に「白黒写真」風味になるよ。

 なに? フォトレタッチソフトなんて持ってない?

 ご安心めされよ。そういう人のために、キヤノンさんは、ドライバに「グレースケール印刷」という項目を作ってくれてある。こいつをチェックして印刷すれば、ソフトウェア側でなにかをする必要はなにもなくて、カラー写真を勝手にモノクロに変換して印刷してくれる。単純な変換だから、モノクロの味わいまでは出ないけどね。

 さあ、モノクロ写真は準備した。さっそく印刷してみよう。さすがにイージー・フォトプリントでは荷が重そうだから、Photoshopで印刷してみるね。

 結果は……

 悪くないかも。自腹切って買ったプリンタだから、ちょっと親の欲目もあるだろうけど、色かぶりはあまり感じられない。「あまり」と書いたのは、まったく「ない」わけではないからなんだ。ほんの少し、シアンが強く出るみたい。ただ、色かぶりと表現するほどひどくはないね。目を皿にしてみれば、若干マゼンダのムラができるところが残念ではあるけど、シアンが強い分は、全体に冷たい色調に見える程度だ。

 モノクロ写真には、「温黒調」と「冷黒調」という表現があるんだけど(純黒調というのもある)、その分類に従うなら、iP 4200のモノクロ写真は、冷黒調と表現してもいいだろうね。イエローにかぶるプリンタがあるとすれば、たぶん「温黒調」に見えると思う。

 余談だけど、日本人は冷黒調が好きで、欧米人は温黒調が好きという国民性があるみたいだよ。事実、日本のモノクロ用印画紙は冷黒調が多く、アメリカやイギリスの印画紙は温黒調が多かった。キヤノンは日本人なんだね。じつはぼく、温黒調の方が好きなんだけどさ(苦笑)。暗室でモノクロ写真を焼き付けていたころは、イルフォード(英国製)のバライタ紙が一番好きだった。イルフォードは、インクジェット用のペーパーも販売しているみたいだから、そのうち試してみたいな。

 あ、そうそう。話は変わるけど、本体の奥行きが長い理由は、両面ユニットの存在だけでなく、CDに印刷する機能もあるからかもしれない。プリンタブルのCDやDVDを付属のトレイに載せて、プリンタの指定の場所に差し込むだけで、CDのラベル印刷ができるのだ。いまどきのプリンタには、当たり前のようについてる機能だろうけど、ラベル印刷は便利だよねえ。これでもう、写真データ納品用のCD−Rに、手書きの汚い字で、データシートを書き込まなくてもすむ。ぼくもやっと原始人から卒業だよ(笑)。

 こうなってくるとアレだよ。なんか「早まったかな」という思いがもたげてくる。というのは、最初に書いたとおり、コピー機能がついた「複合機」を選ばなかったことが気になるんだよ。これだけ未知の機能が便利だったりすると、複合機には、さらに、ぼくの知らない便利な機能が隠されているかもしれないじゃないか!

 なんて考えてもしょうがないので、考えないことにするとして(複合機の便利さをご存じの方がいても、ぼくには教えないで!)、ここまで印刷してみてのインクコストはいかがなものだろうか。正確な数字は出ないけど、感覚として「高くはない」気がする。

 iP 4200を買ってから、L判の写真を72枚、A4の写真を30枚、A4のモノクロ主体の書類を100枚ほど印刷した。すると「イエローとマゼンダのインクが少なくなってるぜダンナ。そろそろ新しいインクを用意しておくんな」というメッセージが出るようになった。まだ印刷はできるけど、もうじきイエローとマゼンダはなくなるんだろうね。ヒューレットパッカードに比べると、一回のインクで印刷できる枚数は少ないかな。

 そういえば、iP 4200を買ったとき、本体に付属しているインクはオマケなので、インクの容量が少ない。最初は早くなくなりますよ。と、お店の人が言っていた。それが事実なら、現時点でインクコストを計算しても意味はなさそうだ。なにせ、いままでの話は、本体に付属のインクタンクでの結果だから。それにしても「容量の少ないオマケのインクタンク」で、ここまで印刷できるなら、コストは高くないんじゃない?

 具体的には、写真用のフォトインクが、量販店で一本千円ぐらい。お徳用4色パックというのも売ってるから、そちらだと一本にかかるコストは少し安くなる。文字用の顔料ブラックだけは10%ほど高くなって(ただしインク容量が多い)、しかもお徳用パックは売られてない。事務用としては顔料ブラックの使用頻度が高いだろうから、お徳用2本パックとか欲しいよね。

 今回は「あれもこれもプリントしてみたい病」が発病したから例外として、ぼくの通常の使い方なら、二ヶ月に一本、どれかの色のインクを交換する程度だろうか。とすると、インクにかかるコストは、月に500円くらいか。まあ、うちを「オフィス」と考えれば、安いもんだよね。

 結論。

 総じて、このプリンタの機能と能力、そして予想される将来のランニングコストには満足した。いい買い物したよ。と、しばらくは思わせておいてね、みなさん(笑)。冗談抜きで、「お買い得」という言葉がピッタリくるプリンタだよ。

 問題は……というか未知数なのは、長期的な信頼性だね。ヒューレットパッカードのように、これから数年使い続けられるだろうか。それは神のみぞ知ることだ。機械モノだから当たり外れもあるだろう。もしかしたら、明日壊れるかもしれない。どうせ壊れるなら、保証期間がある1年以内にお願いしたいけど、たぶん1年とちょっとして壊れるんだろうね、こういうモノは(苦笑)。

 というわけで、新年早々、テレビショッピング書いちゃった。こんなエッセイを書いたのはジャパニスト以来かな? お粗末さまでした。



※注
このエッセイでリンクした製品紹介ページは、エッセイ執筆時(2006.01.16)現在のものです。将来は製造中止などの理由で、リンク切れになる場合もあるでしょう。なるべく、リンク切れのチェックはしますが、あなたがお読みになるとき、リンク切れになっていたらごめんなさい。

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