彼と彼女の悲劇



 前回の分を書いてから、ふと、不安になりました。一応、手持ちの資料を見ながら書いてるんですが、あんまり頼りにならない資料なんで(じつは、すごくむかしに借りた本のコピーしかない)、けっこう、あいまいな記憶のまま、大丈夫だろって軽い気持ちで書いちゃったんですよね。いやあ、細かい部分を気にしだすと、執筆のスピードが落ちるモンでつい。

 うーむ。いかん。で、インターネットで調べました。そしたら、アーサー王の母親の名前が違ってました。いや、まったく間違いというわけでもないんですが、ぼくはアイジャーンと書いたのですけど、多くは「イグレーヌ」と表記されてますね。どうも、こっちの表記の方が正しいみたいなので、謹んで修正いたします。

 また、王妃ギニヴィアも「グイネヴィア」となっていたり、ランスロットも「ラーンスロット」となっていたりしますが、この辺は発音の違い(あるいはカタカナでの書き方の違い)という程度なので、このエッセイでは、ぼくの記憶のままにします。

 しかし、もっと深刻な問題があります。それは、アーサーが治めていた国の名前。「ブリタニア」だったり「ブリトン」だったり、「ログレス」って書いてる人もいる。困るなあ。これは「ブリタニア」に統一しますか。(そりゃ違うよって、ご意見があれば、メールください。お願いします)

 まだある。ざっと調べただけですが、物語そのものも、解釈の違い、あるいは出典の違いなどで、紹介者によって、ストーリーが微妙に異なりますね。まあこれは、千年以上前の伝説が元になっているお話なので、致し方ないところでしょう。しっかし、エクスカリバー(アーサーの持っている伝説の剣)の出所にしたって、いくつも説があるんだから、まいっちゃうよなあ。それどころか、アーサーの死に際にも説がいくつかあるし……

 ううむ。悩んでいたって仕方ないので、一番ぼくの好みにあう説を組み合わせながら、このエッセイを進めて行くことにいたしましょう。

 じゃあ、始まり、始まり〜

 気高き魂を持つ、正義と公正の人、キング・アーサー。そして、どれほど美しく咲いた薔薇も、彼女の前では色あせてしまうほど美しい、プリンセス・ギニヴィア。彼らが並びたつ様は、だれをも魅了してやまない。

 うーむ。こんな書き出し、どうでしょう? なんか、吟遊詩人になった気分。

 なんて、冗談言ってる場合じゃありません。ともかく、アーサー王とギニヴィアは魔法使いマーリンの粋な計らい(?)で、運命的な出会いを果たし、お互いに愛し合うようになりました。そして、ほどなく二人は神の前で永遠の愛を誓い、夫婦になりました。聖剣エクスカリバーを持つ英雄と、世にも美しきプリンセスの婚姻は、すべての人に祝福されたのです。

 ところが…… いま、幸せの絶頂にいる二人には、悲しい悲しい物語が待っているのです。彼らの人生は悲劇のうちに幕を閉じます。

 ギニヴィアの裏切り。アーサーの失意と絶望。許すべからざる陰謀。崩れさる友情。血で血を洗う戦争。深い悲しみの中で死んでゆくアーサー。そして、己の犯したあまりにも大きな罪に恐れおののくギニヴィア……

 みなさん、心の準備はよろしいか? では、彼らの悲劇に立ち合いましょうぞ。

 まずは、悲劇を演出した登場人物を列挙しましょう。

1)ランスロット
2)ガウェイン
3)モウドレッド

 この三人が、アーサーとギニヴィアの悲劇を演出した主要登場人物です。この中にあって、主役であるアーサーよりも、有名かもしれない「ランスロット」について書かねばなりますまい。(事実、アーサー王伝説は、ランスロット伝説と言い換えてもいいぐらい、ランスロットの活躍が目立つ)

「湖の騎士」と呼ばれる、騎士ランスロット。アーサー王の信頼する円卓騎士のひとりなのですが、その中でも、とりわけアーサーの信頼が厚かった騎士です。

 こいつはもう、とんでもないヤツですよ。なにがとんでもないってあんた、まず超の付くハンサム! これだけでも許せないのに(だれが許せないのだ?)、英雄アーサーでさえ足下にも及ばない剣の腕を持っているんです。だれだ、天は二物を与えないなんて言ったヤツは。いるぞ、ここに。二物も三物も持ってるバカ野郎が。失礼。ついやっかんでしまいました。(ちなみに、アーサー王伝説には、ランスロットをも上まわる美貌と剣の腕を、持った騎士が現れますが、そいつはランスロットの息子だっていうんだから、もう、勝手にしてくれって感じ)

 と言うわけで、ランスロットは当然、女にモテまくります。彼に恋した女性は数知れず。ところが、ランスロットは、どの女性に対しても、心を動かされません。なぜなら、彼の心には、すでに愛する女性がいたからなのです。その人の名は、ギニヴィア。言っときますが、アーサーに会う前のギニヴィアじゃありませんよ。すでにアーサーと結婚した後のギニヴィアです。そう。ランスロットは主君アーサー王の后を愛してしまったのです。

 なんと罰当たりなヤツ。しかし、もっと罰当たりなのがギニヴィアです。なんと、彼女もランスロットを愛してしまったのでした。これが悲劇の始まりです。

 なんだそれ? ただの浮気だろ? え、本気? だったら、ギニヴィアもアーサーとさっさと離婚して、ランスロットと再婚すりゃいいじゃんか。どこが悲劇だよ。

 と、思ったあなたは、どうしようもなく20世紀生まれですな。この時代は、まだ中世とも呼ばれていない、遠い遠い過去なんですよ。泣く子も黙る封建社会です。簡単に離婚なんかできるはずがない。それどころか、浮気をした女性は、火あぶりの刑で死刑になるのが当たり前だったんです。たとえ、王妃であっても。

 ほう。じゃあギニヴィアは火あぶりの刑で死んだのか。違う違う。それじゃあ、物語は面白くありません。

 まず、ギニヴィアの心理を説明しましょう。たしかに彼女はランスロットを愛した。しかし、夫であるアーサーに対する愛情もまた本物だったんです。二股かけてたのかって言うのは簡単ですが、人の心は、そう簡単には割り切れない。ギニヴィアにとってアーサーは、空気のようなもの。ふと、忘れることはあっても、絶対に必要なんです。そしてランスロットは、太陽です。彼の前に立てば、そのまばゆさに、ついクラッと来てしまう。

 考えてみると、ギニヴィアは、ものすごく幸せな女性ですよね。希代の英雄であるアーサーに愛され、そして、この世に二人といない、最高の騎士ランスロットにも愛されたんですから。ま、それだけ、彼女自身が美しかったということでしょうけど。

 さてさて。愛し合ってしまった、ランスロットとギニヴィアですが、背徳の貴族社会にありがちな、密会ってやつを重ねました。そして、甘いベッドシーンが…… というわけではなく、たしかに密会なんぞしてますが、なんとこの二人、終生プラトニックな関係を守ったのです。そうなんですよ。ただの一度も、過ちは犯しませんでした。

 彼らの名誉のために申し上げます。ギニヴィアはけっして火あぶりの刑が怖かったのではなく、それはひとえに、アーサーのためなのです。彼女は、どれほどランスロットに恋い焦がれても、愛する夫を裏切ることはできなかった。そしてまたランスロットも、騎士の誇りを捨てて、忠誠を誓った主君を裏切ることはできなかったのです。ご立派。

 いかがですか。「許されない愛」ですぜ。悲劇には絶対必要ですよね。というか、膳立てが揃ったってところでしょうか? でもね、まだまだ足りない。今度は「友情」のエッセンスを加えましょう。

 と、いうわけで、ガウェインくんのご登場。彼はアーサーの甥っ子で、ランスロットの親友なんです。ランスロットについては、またべつのエッセイで詳しく紹介するつもりなので、ここでは、ガウェインについて、もうちょっと詳しく書いておきましょうね。

 ガウェインはランスロットと仲良しです。って、変な言い方だな。彼も円卓の騎士なんですが、とにかく誠実で真面目。ランスロットは色男ですが、彼もまた、かなり真面目な男なんで、ガウェインとは気があったんでしょうね。(ちなみに、ガウェインは、ランスロットとギニヴィアが愛し合っていることを知りません)

 ええと、長くなるんでここでは書きませんが、アーサー王伝説のハイライト部分ともいえる、「聖杯を探す旅」では、ガウェインとランスロットは、協力し合って、聖杯を拝んでいます。(ただし、この二人に聖杯を手にする資格がなかったので、ただ拝んだだけ)

 と、まあ、二人は親友と言える仲なんですが、ここでは少し横道にそれて、べつの話を書きます。すいませんねえ、いつも脱線して。ギニヴィアと直接関係ないんだけど、けっこう面白いストーリーなんですよ。すごく印象に残っているんで、書かずにいられないのです。

 ある年。アーサーは、クリスマスに大きなパーティを開きました。このパーティで、ひとりのご婦人が、アーサーの前に進み出て、「夫が捕まっているので、助け出してほしい」と願い出ます。

 そこはそれ、正義の人アーサー。よしわかった。と婦人のお願いを聞き入れ、彼女の夫が捕まっているという、ワゼリン湖の城に出かけて行きます。ええと、なぜか、たった一人で。おまえ王様じゃないのか? 軍隊を連れて行けよ、軍隊を。

 たった一人でワゼリン湖の城に出向いたアーサー。城に到着すると、中からひとりの騎士が出てきます。とうぜん、戦いになるのですが、なんとアーサーは、あっさり負けちゃって、自分も捕虜になってしまうのでした。だから軍隊を連れて行けってば。

 アーサーをとっ捕まえた騎士は、得意になって言います。

「アーサー王。おまえに一つの質問をしよう」
「質問だと?」
「そうだ。それに答えられたら、捕まえた騎士を逃がしてやる」
「いいだろう。言ってみろ」
「ふむ。答えられるかな? その問いとは、この世の女は、いったい、なにを求めているのか」
「はあ? なぞなぞか? おまえスフィンクスかよ」
「こら、時代背景をごっちゃにするな。いいから、この世の女が、一番求めているモノを答えよ」
「それは……」
 アーサーは、答えに窮した。女が一番求めているもの? 富か? 美貌か? ううむ。わからん。というか、それって永遠の謎なんじゃないか? 男にとっては。
「ハハハハ! 答えられんだろう!」
「くそっ……」
「アーサー王よ。おまえに猶予を与えよう。来年の同じ日に、また戻ってくるがよい。そして、いまの問いに答えるのだ。そのとき答えられなかったら、おまえの命を頂こう」

 こうして、失意のうちに城からおん出されたアーサーは、自分の城に戻ると、ガウェインに相談しました。もちろんガウェインにも答えはわからない。

「陛下。こうなったら、その謎の答えを求めて、旅に出ましょう」
「おお、謎の探求だな! それはいい」

 こうしてアーサーとガウェインは、謎の答えを求めて、旅に出たのだった。バカだ、こいつら……

「女がなにを求めているか?」

 そんなこと探求するために、旅に出るかふつう。しかも王様と、その側近が。

 まあいい。旅に出ちまったもんは仕方ない。

 で、とうとう、旅に出て一年が経過しようとしていたが(一年もかよ……)、謎の答えはいっこうに見つからなかった(当たりまえだ)。しかし、困り果てている二人の前に、大きな白馬に乗って、宝石を散りばめた、ゴージャスな服を着たご婦人が現れました。

 ガウェインは、そのご婦人を見て、気絶しかけた。アーサーも、思わず胸に十字を切った。あまりにも、あまりにも、その女性が醜かったからです。とても人間とは思えない。もはや、バケモノと言う方が合っている。

 しかし、そのバケモノ…… 失礼。ご婦人は、アーサーの前でこう言った。

「げへへ。アーサー王よ。わたしに優しい言葉をかけとくれ。それが、あんたの運命を左右するんだよ」
 おっと、このバケモノ、なにか知ってるな! そう直感したアーサーは、うやうやしく頭を下げて、そのバケモノに応えた。
「姫。ごきげん麗しゅうございます」
 いつ、姫になったんだ? と、疑問に思っちゃいけない。
「げへへ」
 バケモノは、ニタリと笑ったように思えたが、実際は、より薄気味悪い顔になっただけだった。
「アーサー王よ。あたいは、あんたの求めている答えを知ってる。教えてやろうか?」
「おお! それは願ってもない! バケモ…… じゃなくて、姫。せひとも教えていただきたい」
「ただし、ひとつだけ条件がある」
「なんでしょう? わたしにできることならなんでも」
「げへへ。その条件とは、あんたと同じぐらい身分の高い男を、わたしの夫にしておくれ」
「えーっ!」
 と、アーサーとガウェインは声をあげた。
 そんなアホな。鏡を見なさい、鏡を。
「いや、姫、なんと申しますか、その…… 大変、言いにくいことではございますが、あなたはその、鏡というモノをご存じですかな?」
「もちろん」
「それでも、なお、身分の高い男と結婚したいとおっしゃる?」
「その通り」
「うはあ…… まいったな、こりゃ」
「げへへ。やっぱりダメか」
「うーん……」
 唸るアーサー。マジで困っちゃうよなァ。
 そのとき。
「陛下」
 と、ガウェインが青い顔をしながら言った。
「わたしが、彼女の夫になりましょう」
「えーっ! 待てガウェイン。おまえ正気か?」
「はい。もはや時間がありません。彼女から聞くしか、謎の答えを求めるのは不可能です。そして、答えを持って行かねば、陛下の名声に傷がつきます」
「ガウェイン…… おまえってやつは。なんて忠義に厚いんだ」
 アーサーは、ガウェインの提案に、心から感謝した。
 ガウェインは、バケモノに向き直り、深呼吸してから、言います。
「わたしはアーサー王の甥だ。わたしなら、あなたの望みにかなうだろう。いかがか?」
 バケモノは、うなずいた。
「げへへ。おまえは円卓の騎士だね。いいだろう。あんたなら、不足はないさね」
「では、謎の答えを聞こう。女が、一番求めている物はなんだ?」
「げへへ。それは、男を支配することさ」
「なるほど〜」
 妙に納得する、アーサーとガウェインだった。このバケモノが言うと、むちゃくちゃ説得力がある。

 と、そんなこんなで、謎の答えを知ったアーサーたちは、ワゼリン湖の城に大急ぎで戻り、例の騎士に答えを言ったのだった。

「女が求めているのは、男を支配することだ!」
「なんと!」
 騎士は驚いた。
「きさま、それをどこで…… も、もしや、ラグネルから聞いたな!」
「ほう。あのバケモノはラグネルと言うのか」
「バケモノって言うな! あいつはオレの妹だぞ!」
「な、なんですとォ!」
 今度は、アーサーがビックリ。
「妹だったんかい! ちょっと待て、おい、こら。これって詐欺じゃねえのか? バケモノの妹を嫁がせたくて、こんな茶番を考えたな」
「バカ言うな。オレは騎士だぞ。そんなことはせん。約束もちゃんと守る。おまえの命も助けてやるし、捕まえた騎士も解放しよう。ただし、そっちも約束を守れよ。だれか身分の高いヤツが、オレの妹と結婚するんだろ?」
「やっぱ、詐欺だ!」

 しかし。騎士が一度した約束を破ることは許されない。こうして、哀れなガウェインはバケモノと結婚することになったのです。

 これで終われば大笑いなんですが、ガウェインの不幸な物語はまだ続きます。

 結婚式は盛大に行われました。ガウェインとしてはひっそりやりたかったでしょうが、彼はいやしくも王様の甥っ子であり、名誉ある円卓の騎士です。それ相応の結婚式を上げなくてはならない。しかし、出席した騎士や貴婦人、そして当のアーサーさえも、お祝いを言うとき、言葉に詰まったりどもったり。パーティでは、みんな懸命に明るく振る舞いましたが、それでも相変わらず「げへへ」と笑っているバケモノ(ラグネル)を見ると、なんとも気が滅入りました。

 さて。宴会も終わり、ついに妻になったバケモノ(ラグネル)と二人きりになったガウェイン。やば〜 貞操の危機ってヤツ? もちろんガウェインの。

 案の定、ラグネルが、ガウェインに言った。

「ねえ、あんた。あたいにキスしてくれよ」
 はあ…… もう死にたい。と、ガウェインが思ったかどうかしらないが、彼は目をつぶって、ラグネルにキスをした。だが、どうしても目から涙がポロリとこぼれた。堪えられないのだ。
 すると……
「ガウェイン様。どうか、目を開けてください」
 美しい声が聞こえた。
「え?」
 ガウェインは目を開けた。すると彼の前にいるのは、主君アーサーの后、ギニヴィアにも負けないほど美しい女性だった。
「き、きみは、だれだ?」
 ガウェインは、思わずそう聞いた。
「わたしは、あなたの妻、ラグネルです。もっとも、あなたがそう思ってくれればですけど」
「待ってくれ。これは…… いったい、どういうことだ?」
「はい。じつは、わたしには醜くなる呪いがかけられていたのです。ですが、あなたの気高い行為で呪いが解けたのです」
「な、なんと! そうだったのか!」
 しかし、ガウェインが喜ぶのもつかの間。ラグネルは沈んだ顔で続けます。
「でも…… 呪いは半分しか解けていないのです。わたしが元の姿でいられるのは、一日の半分だけ。夜か昼かのどちらかです。ガウェイン様。どうか、あなたが決めてください。昼醜い方がいいか、夜醜い方がいいか」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。そんなこと急に言われても……」
「わかっています。どうかよく考えて決めてください。昼にわたしが醜ければ、あなたは人からバカにされます。夜にわたしが醜ければ、疲れてお帰りになったあなたの、貴重な休息の時間を、醜いバケモノが邪魔するのです」
 そりゃ、夜に綺麗な方がいいに決まってるでしょ! いろんな意味で!
 と、普通の男は思うわけですが、そこはそれ、誠実なガウェインくん。言うことが違う。
「ラグネル。それは、わたしの決めることではないよ」
 ガウェインは、やさしい声で言った。
「昼に醜い姿で、人々から笑われるのはきみだ。そして、夜に醜い姿で、わたしから避けられるのもきみだ。昼と夜。どちらを我慢できるか。それを決めるのはラグネル。きみ自身だよ」
 すると、ラグネルの瞳から、大粒の涙がポロポロとこぼれた。
「ああ、ガウェイン様! あなたのその言葉で、呪いが完全に解けました! もし、あなたが昼と夜をお決めになっていたら、わたしの呪いは永遠に解けなかったのです!」
「えっ…… じゃあ、ラグネル。きみは……」
「はい。この姿のままで、あなたの妻になれるのです。昼も夜も!」
「おお、ラグネル!」
「ああ、ガウェイン様!」
 二人は、ひしと抱き合った。

 なんと、大ハッピーエンドで終わったのでした。その後、二人は仲睦まじく暮らしましたとさ。いやあ、めでたい。

 しかし。このガウェインも、アーサーとギニヴィア。そしてランスロットの招いた悲劇に巻き込まれ、悲惨な最後をとげるのです。

 さて。だいぶ脱線しましたが、愛と友情が出揃った。ですが、悲劇の物語に足りない要素が、まだひとつあります。それも重要な要素が。

 それは、陰謀。これなくして悲劇は始まらない。

 それではお待たせしました。しんがりに、ご登場願いましょう。彼の名はモウドレッド。極めつけの悪党です。まさに、メインディッシュですな。

 で、ここで次回に続くって書いたら怒る? でも書いちゃう。次回に続きます。


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